【電子版拡大版】ワークマン躍進の〝仕掛け人〟土屋哲雄専務に直撃 熊本の将来性、地方企業の成功の鍵、人材育成…
作業服最大手のワークマン(群馬県)は、女性目線をテーマに作業服の機能性を備えたカジュアル服を低価格で提供する新業態「#ワークマン女子」の熊本1号店を、ゆめタウン光の森(菊陽町)に出店した。同社の売り上げを5年で2倍にした躍進のけん引役と言われる土屋哲雄専務(71)に、出店の狙いなどを聞いた。(高橋俊啓) 熊本の経済ニュース
-光の森に出店した理由を教えてください。 「当社は、ファミリーで訪れる郊外型店が強い。ワークマン女子の客層で一番多いのは、子ども連れを含めた40代女性だ。駅前や熊本市中心部からの出店の打診があったが、ゆめタウン光の森のテナントが空くまで約2年待った。近隣に半導体関連企業が集積し、新興住宅の建設も伸びている。熊本市からも近く、光の森店は九州ナンバーワンになれると思っている」 -熊本で「ワークマン女子」を展開する狙いは。 「(本業の)作業服の販売が好調なので、『女子』で違いを出したい。光の森店には『女子』の専売商品を半分以上並べるつもりだ。今後は、熊本市や八代市などでワークマン女子の路面店を展開したい」 -2015年に熊本に進出し、今回で14店舗目です。熊本の市場をどう見ていますか。 「熊本は工場が多く、インフラ建設や産業誘致も活発で全店舗とも絶好調だ。半導体産業は裾野が広く、熊本はすごい産業集積地になるだろう。景気が良く、当社も恩恵を受けている」
-台湾進出を視野に入れています。台湾積体電路製造(TSMC)の工場がある熊本での事業は、その試金石になりそうです。 「熊本には台湾との直行便があり、台湾人の来訪も多い。交流サイト(SNS)を活用した商品PRに力を入れており、台湾人インフルエンサーを熊本に呼びたい。台湾は雨が多いが雨がっぱの種類が少ない。雨がっぱは当社の主力商品で70種類ある。暑い台湾でも着ることができる製品をすでに開発した。進出に向けた準備を進めている」 -ワークマンは地方発の企業で急成長しています。成功の鍵を教えてください。 「原点だった作業服を、機能性ウエアに置き換えて世界が広がった。昔からのしがらみや枠組みを外し、事業ドメイン(提供する商品やサービスの範囲)を少し変えてみることだ。熊本は、今の日本で珍しく追い風が吹いている地域。思い切った挑戦をしても、簡単には失敗しないのではないか」 -ワークマンの23年3月期の売り上げは1698億円。18年(797億円)の2倍。アパレル参入が成功しました。