『世にも奇妙な物語』史上最高の神回は? 究極のトラウマ回(5)死刑制度撤廃の未来が恐ろしい…最悪の拷問とは
1990年に放送がスタートした『世にも奇妙な物語』。喜怒哀楽のいずれにも分類できない斬新なストーリー、心を掴む演出と演技によって、老若男女問わず愛されている。今回は、同番組の30年以上にわたる歴史の中から「神回」と名高いエピソードをセレクト。物語の内容と見どころを解説する。第5回。(文・編集部)
『懲役30日』(1998/主演・三上博史)
放送日:1998年9月25日(秋の特別編) 演出:小椋久雄 脚本:高山直也、鈴木勝秀 出演:三上博史、松重豊、手塚とおる、小日向文世 【作品内容】 死刑制度が撤廃された未来。7人もの人間を殺した男が逮捕され裁判が行われる。法廷での男の態度はふてぶてしく、反省の色は全く見えない。そんな男に裁判長が下した判決は、「懲役30日」というものだった。 思いがけない判決に喜ぶ男だったが、なぜか病室に連れていかれ謎の薬を打たれる。薬を投与された途端、男は眠りに落ちる。その後、目を覚ました男は、不気味な看守長により独房に閉じ込められる。 翌朝。看守長に叩き起こされた男は、屋上へと連れていかれる。自分の懲役が屋上での拷問だと悟った男。炎天下の中、水も与えられず、アスファルトの火傷の痛みにも耐えつづける。「たった30日の辛抱だ…」。そう自分に言い聞かせながら、男は1日を乗り切るが…。 【注目ポイント】 1998年に放送された秋の特別編の1編。『世にも奇妙な物語』の中でも指折りのトラウマエピソードとして知られている。 少し前に『二億年ボタン』という短編漫画が話題になった。このボタンは、100万円が手に入るかわりに、押した者の意識は何もない異次元空間に飛ばされる。ボタンを押したものはそこで5億年の時を過ごすことになる。ネタバレを明言するために避けるが、『懲役30年』の主人公も同様の苦痛を味わうことになる。 そして、本作の恐ろしさに説得力を与えるのが、個性的な役者陣の演技だ。まず主人公役の三上博史の演技はいささかオーバーな印象はあるものの、見ているこちらの身体がムズムズしてくるほどに痛々しい。また、看守長役の松重豊は、『孤独のグルメ』とは対をなすようなサディスティックな演技を披露している。 (文・編集部)
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