「殺意があったのは間違いないだろう」別府市長が言及…遺族の懸命の訴えも「殺人罪」に変更されない背景 別府ひき逃げ事件
2021年に北海道苫小牧市で起きた、駐車場ひき逃げ事件にも触れる。クラクションを鳴らされたことに腹を立て、車を追いかけて追突し、運転手にケガを負わせた上に、警察に通報した男性をはねた。容疑者は通報した被害者をめがけて突進し、ブレーキを踏んだ事実はなかった。被害者に対する怒りが決め手となり、裁判員裁判で殺人未遂が認められた。「衝突させる意図があったかが争点になっている」という。では、別府の事件は、なぜ殺人容疑に切り替えられないのか。 「当時の事故状況だけを切り取ると、『交通事故でした』と弁解しやすい。『人に衝突させる意図』があったと推認させるには、動機が解明できないといけないが、本人の供述がない状況では、なかなか解明できないというところで二の足をふんでいるのではないか」 その一方で、被害者のAさんと八田容疑者が、事件直前に口論になっていたことから、「十分に『衝突させる意図』があったという方向性で考えられる」とも指摘する。状況証拠に鑑みて、「殺人容疑に切り替えることは難しくない」としながら、元検察官として「別の事情」も示す。 「2年間たち、恐らく証拠関係はある程度そろっていて、大きく変動している可能性は考えがたい。あと解明できていないことは『動機』かなと思う。供述を取れていないところから、その部分を裁判所に指摘された時に答えられない。それで逮捕令状が出なかったとなると、『別府警察は失敗した』という評価になってしまう」
そして6月28日、遺族らと面会をした大分県別府市の長野恭紘市長は「ひき逃げではなく、殺人罪で(容疑を切り替える)という署名活動をしていると聞いている。本当にひどすぎる、殺意があったのは間違いないだろうと思っている」と、自身の見解を述べている。 弁護士の清原博氏は、「逮捕状を取るには、相当な理由を裁判所に示さないといけない。証拠が必要だが、裁判所が『これは殺人とは言えない』と思えば、逮捕状を出してくれない」と説明。その上で、もし逮捕状が出なくても「大分県警が失敗したとは取られない」との見方を示す。「非難されることはなく、大分県警はよくやってくれていると示せる。失敗を恐れずに、逮捕状を請求すべき。県警は『どんな証拠が必要か』を考えるべきで、殺人に切り替えるいいタイミングだ」と提案した。 元徳島県警警部の秋山博康氏は「ピラミッド型の警察組織」が持つ課題を語る。「遺族の話を聞き、現場を見て、『これは殺人だ』と思う捜査員は多々いる。ただ上が『いままで通り行け』と、殺人に切り替えないことはあり得る」とした。 情報提供は別府警察署(0977-21-2131)まで。X(旧Twitter)の番組公式アカウント(@News_ABEMA)のダイレクトメッセージでも情報を募集している。 (『ABEMA的ニュースショー』より)