米財務省、日本を為替操作の「監視リスト」に1年で再指定…多額の対米貿易黒字など原因
【ワシントン=田中宏幸】米財務省は20日、主な貿易相手国・地域の為替政策を分析した報告書を公表し、日本を監視リストの対象に再び指定した。対米貿易黒字と経常黒字が基準を上回ったため。日本は2016年以降、対象となっており、昨年6月に初めて除外された。
報告書は、貿易相手国が米国への輸出を増やすために、自国の通貨を安く誘導していないかを点検しており、半年ごとに公表される。大幅な対米貿易黒字と多額の経常黒字、継続的で一方的な為替介入の3要件のうち、二つが該当すると、監視リストに加えられる。
日本は、為替介入を除く二つが基準に抵触した。政府・日本銀行が4~5月に行った為替介入については、「日本は介入実績を毎月公表しており、透明性がある」として、問題視していない。
日本のほか、中国と台湾、ドイツ、マレーシア、シンガポール、ベトナムの計7か国・地域が監視対象となった。3要件のすべてに該当し、厳しい制裁を発動する為替操作国に認定した国・地域はなかった。
鈴木財務相は21日の閣議後の記者会見で、「一定の基準値に照らして機械的に評価をした結果だ。日本の為替政策を問題視しているのではない」と述べた。