黒島結菜、幼少期に愛を感じた記憶を語る 朝ドラヒロインを経て声優初挑戦に思うこと
おもちゃの「シルバニアファミリー」は1985年に誕生し、38年にわたって愛され続けてきた。かわいらしいキャラクターたちと手の込んだドールハウスが人気で、遊んだ子供たちの数だけ物語が生まれてきたといえる。そんな「シルバニアファミリー」が今回初めて映画化され、『劇場版 シルバニアファミリー フレアからのおくりもの』として上映中。 【写真】黒島結菜撮り下ろしカット(全4枚) 主人公・フレアの声を務めたのが黒島結菜だ。2022年にはNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』のヒロインを務め、俳優としてこれからいっそうの飛躍が期待されるなか、本作では声優に初挑戦。忙しく過ごした2022年を経て、黒島は自身の現在地についてどのように考えているのか。「シルバニアファミリー」を通して、幼少期の思い出から今後の仕事への意気込みを聞いた。(編集部) ■「車の助手席にはお父さんの愛を感じる記憶があります」 ーーフレア役のオファーがきたときの心境はいかがでしたか? 黒島結菜(以下、黒島):まさか声優にチャレンジすることになるとは思いもしませんでした。驚きが大きかったです。やったことのないことにチャレンジするのは好きですし、新人の時の気持ちにかえったような新鮮な感じがしました。 ーー有名なおもちゃの「シルバニアファミリー」の映画作品ということですが。 黒島:子供のころはシルバニアを持っている友達のことを、いいなあとうらやましく思っていましたし、私にとって憧れの世界でした。海外に行った時におもちゃ屋さんで見かけたときには、世界中で愛されているんだと誇らしい気持ちになりました。 ーー最近、大人の間でシルバニアファミリーが流行していることはご存知でしたか? 黒島:知っていました。私は犬を飼っているのでハスキーの人形が気になりますね。でもみんなかわいい。サイズ感も、改めて見るとすごく小さいですね。大人になってから見ると、こんなに小さかったんだと思います。手に収まるのがいいですよね。 ーー黒島さんが演じたフレアという役についても教えてください。 黒島:明るくて素直で、純粋な女の子だと思いました。でもちょっと迷いがあって、お母さんを喜ばせたいけれど、どうしたらいいか分からない。等身大の悩みに子供らしさもあり、かわいいなと思いました。 ーー子供らしさを声で表現するのは難しかったですか? 黒島:自分が普段喋っている声が意外と低いことに気づき、ちょっと高めの声で演じるようにしました。けれど声の高さ以外の子供らしさの表現は、演じるのが難しかったですね。 ーー今回が声優初挑戦になりましたが、ドラマや映画での芝居と違う部分もあったと思います。 黒島:改めて、表情から伝わるものはすごく大きいんだと感じました。普通の映像の芝居だと表情も一緒に映るのですが、声優のように声だけだと、自分が思っている5倍10倍くらいの気持ちで表現しないと、アニメーションに乗った時になかなか合いません。さらに今回のアニメーションは動物のキャラクターじゃないですか。表情も大きく動くわけではないので、ちょっとした表情の変化をどれだけ声で表現できるかというところはハードルが高いと思いました。 ーーステラ役の松岡茉優さん、テリー役の蒼井優さん、ブルース役のDAIGOさんとアフレコなどで会う機会はありましたか? 黒島:アフレコは完全に一人でした。私は最初の方に収録したので、皆さんがどういう声でどういうお芝居なのかもわからないまま録っていたんです。だから完成した作品はすごく新鮮な気持ちで観ることができました。蒼井優さんが演じるお母さん・テリーの、穏やかな優しい感じが聞いていてすごく心地よくて。もっとずっと聞いていたくなるような声でした。 ーー完成した皆さんの声を聞いて、印象が変わることも? 黒島:印象はあまり変わりませんが、蒼井優さんの声はすごく落ち着きました。松岡さんはお芝居でご一緒したことがあり、今回直接会ってはいないけれど久しぶりの共演になります。お姉さんの頼もしい感じが声からも伝わりましたね。声の仕事は会って実際に芝居するわけではないので、すごく不思議な感じです。 ーー改めて、本作の見どころを教えてください。 黒島:本当に平和で愛にあふれた世界です。アニメーションの質感がとてもリアルで、シルバニアファミリーの世界が動く様子に純粋に癒されました。なんだか忘れていた気持ちを思い出すようです。こんなに素直で真っ直ぐで、みんながこのシルバニア村のことを思っていてこの場所が大好きで。こうやって自分の近くにいる人たちを愛し、大切に思うことが平和への一歩なのだと感じました。 ーー映画では「おくりもの」がキーになりますが、黒島さんは今まで家族に何をプレゼントしてきましたか? 黒島:誕生日とか、母の日とか父の日でしょうか。ただ、私は「何がいい?」って聞いちゃいますね。この間も「何が欲しい?」って聞いたら「除湿器」と言われました。夢のない会話です(笑)。でも大人になった今だからこそサプライズをしてみるのも面白いので、今度はリサーチしてみようと思います。 ーー家族との思い出も聞かせてください。 黒島:寝るのが苦手な子だったので、毎日のようにお父さんがドライブに連れていってくれて助手席で寝るということをやっていました。車の助手席にはお父さんの愛を感じる記憶があります。それこそ一つの思い出の場所だなと思いました。 ーー小さい頃の黒島さんはどんな子供でしたか? 黒島:ずっと外で遊んでいるタイプでした。男の子と木登りしたり、かけっこをして遊んでいました。公園も大好きでしたね。わりとやんちゃだったので、よく親に怒られていました(笑)。 ーーそれを聞くと、どうしても『ちむどんどん』の暢子のことを思い出してしまいます。 黒島:そうそう、暢子みたいな感じです。地元の沖縄では海が近かったので、よく砂浜で遊んでいました。今となってはすごく良い環境だったと思います。 ーー朝ドラを経て連続ドラマに舞台と忙しい日々を送ってきた中で、なにかターニングポイントになるような経験はありましたか? 黒島:朝ドラが終わって『クロサギ』(TBS系)もあり、昨年はすごく忙しかったです。なので今年は休みの年にしようと思って、仕事をセーブしました。おかげさまで自分の時間もゆっくり取れたし、お芝居をしたいなという仕事のモチベーションにもなりました。ずっと働いているのも時期によっては大事かもしれません。でも今年はちゃんと自分の時間があって、旅行に行くなどして経験をインプットできたので、それをちょっとずつ出していきたいという考えに変わってきました。これからまた新しい気持ちでできるかなと思っています。
Nana Numoto