国スポで活躍の2年生10番MF三上蓮恩も存在感。安定してチーム力を発揮中の細田学園が5-0発進:埼玉
[10.20 選手権埼玉県予選2回戦 川越東高 0-5細田学園高 細田学園第2G] 【写真】伊東純也ら欧州組9選手の秋冬コーデに大反響「黒髪もステキ」「これはずるい」「まじ俳優レベル」 20日、第103回全国高校サッカー選手権埼玉県予選2回戦が行われ、細田学園高が川越東高に5-0で快勝した。細田学園は26日の3回戦で聖望学園高と戦う。 細田学園は昨年度の選手権予選、今年の県新人戦、関東大会予選、インターハイ予選でいずれもベスト8。埼玉県1部リーグでは現在、過去最高成績の4位につけており、9月の国民スポーツ大会(国スポ)に上田健爾監督とMF三上蓮恩(2年)が埼玉県選抜の一員として参加。全国ベスト8を経験している。 埼玉県選抜は浦和ユース、大宮U18中心のメンバー構成で、DF熊田佳斗(大宮U15、中3)やMF神田泰斗(大宮U18、1年)ら年代別日本代表経験者も複数いた。彼らに比べると三上は無名。だが、タレント軍団の中で光る動きを見せ、自信をつけて細田学園に戻ってきている。 「国体でやってみて、プレースピードや強度と自分のプレーの基準が上がったので、結構いい感じで今、臨めてるなと思います」と三上。細田学園で2年生10番のレフティは、2得点に絡む活躍で選手権予選初戦突破に貢献した。 試合は立ち上がりから細田学園が圧倒的にボールを支配する。個々の技術力が高い細田学園は、加治木太一(3年)、高久琉我(2年)、増田蒼仁(3年)の3バックからボールを失うことなく、動かし続ける。ダブルボランチのMF並木俊輔(3年)とMF佐久間柾斗(2年)が多くボールに係わり、タッチライン際に位置取る左のWB福嶋琉人(3年)とMF日水凰貴(3年)、右のWB川崎桜瞬(3年)、三上への配球を増加。相手の両ワイドを押し下げることに成功する。 川越東は両SHがDFラインまで下がり、6バックの形で対応。ベンチから「最後、中だぞ!」と声が飛ぶ中、ゴール前に厚みを持たせて細田学園の攻撃をよく跳ね返していた。だが、細田学園は加治木や並木のミドルシュートなどでプレッシャーをかけると、前半17分に先制点。FW原慧悟(3年)が獲得した左FKを佐久間が右足で蹴り込む。これをファーの184cmDF高久が豪快に頭で決めた。 細田学園は、前半半ばから三上の存在感が向上。「上田先生の采配で自分が真ん中入って、みんながうまく動いてくれて、自分がフリーになってプレーできたと思います」。相手DFがマンツーマンでついて来ていたことから、ポジションを中央へ移行。レシーブ能力が非常に高い三上は相手DFラインの前で巧みにボールを引き出し、「最初、自分の方にマークついてたんで少ないタッチ数でやって、それで自分がフリーになった時はもうドリブルで行く」という動きで相手を混乱させて見せた。 ドリブルで2人を剥がして前進するなどチャンスメーク。そして、29分には三上を起点としたパスワークで中央を攻略する。最後は原のラストパスで日水が抜け出し、左足でゴール。31分にも三上が斜めのパスを差し込み、原が左足で3点目を奪った。 細田学園は3バックの前方にスペースができたことでより多彩な攻撃が可能に。その中で三上はコーナー付近でDFをかわすなど脅威になり続けていた。川越東はCB甲斐麟太郎(3年)のコーチングで穴を埋め、CB田沢星唯(3年)が前へ出て強い当たりで三上を止めるなど修正。26分にMF石塚真士(3年)が左サイドを抜け出したシーンを除くと攻撃機会は少なかったものの、崩れずに集中して戦っていた。 細田学園は後半4分、加治木の柔らかい左クロスから川崎が1タッチで決めて4-0。一方の川越東は相手ゴール前で競り勝ち、決定的なシュートを放つなど、前半のゼロから後半は3本のシュートを放った。MF樋口郁海(3年)や左SB中村玄馬(2年)らの粘り強い守りから積極的に前線へボールを入れ、連続シュートや石塚の左クロスに10番MF成瀬柊駕(3年)が走るこむなど会場を沸かせるシーンも。だが、細田学園はゴール前で存在感を放つゲーム主将GK米山巧馬(3年)や大型DF高久が得点を許さない。 細田学園の上田監督は「特別な選手っていうところはいない中で、ほんとにチームでボールも循環して、チームで守備をしてという攻守に渡っての全体的な関係性の精度っていうところはかなり上がってきた」と頷く。後期の県1部リーグは正智深谷高、浦和南高、武南高、武蔵越生高相手に4連勝を記録。強豪校の強度、速さに対しても「自分たちのフットボールを安定して見せれる」ようになったチームは、トーナメントでもチーム力を発揮することを目指している。 細田学園は後半26分、交代出場のMF桑颯馬(3年)がGK頭上へ技ありの左足シュートを決め、5-0。その後も、交代出場のFW木田慶人主将(3年)が裏抜けからポスト直撃の右足シュートを撃ち込んだ。木田が「チームで戦うっていうところ、チーム全員で誰が出ても良いというのが強みだと思います。後期リーグで4連勝とかして結果が出てきて、自信もついてきているので、ほんとに負ける気がしないです」と説明したように、選手層の厚さも示した細田学園が5-0で勝利した。 三上は相手に厳しくチェックされ続ける中で集中力が切れ、ボールロストが増える時間帯があったことを反省。上田監督は「彼がいいところに入り出して、点になってっていうところと、もう1つ、やっぱり個で打開する、オンで打開するっていう意味では、彼がもう少しやってくれないといけない」と求める。 ボールを引き出す力とファーストタッチの質は国スポでも示していたが、チームが上へ行くためにはより突破力も、得点力も必要。今後の戦いへ向けて三上は「自分が結構マークきつくなってくると思うんですけど、そういう感じでも自分がドリブルで行けたり、やっぱ存在感出していきたい。やれるっていう感じはあるんですけど、もっと点にこだわっていかないとダメだなって思います」と語った。 目標は過去最高成績の8強を超えて優勝だ。木田は「優勝して全国行きたいです」と意気込み、三上も「今回、優勝できるように頑張って、来年も」。3回戦は県1部リーグ首位の聖望学園と対戦。準々決勝ではインターハイ王者・昌平高と対戦する可能性のある組み合わせだ。細田学園は三上の経験やチーム力を活かし、激戦ブロックを突破する。