公費でビジネスクラス利用 議員の海外視察、コロナ禍明けて活発化 「費用対効果」に疑問の声も
新型コロナウイルスの5類移行を受け、各地の議会で公費を使った海外視察を活発化する動きが相次いでいる。ただ、議会内には「費用対効果」を疑問視する声が出ている。 【一覧】中国地方5県議会と広島市議の海外視察 広島県議会は2月9日、各派代表者会議を開き、議員の政策立案機能の充実を図る必要があるとして海外視察の実施を従来通り申し合わせた。任期中に1人1回、旅費の上限は90万円で航空機はビジネスクラスを利用できる。 航空費や宿泊費の上昇を受け、一部の県議からは旅費の上限100万円への引き上げを求める声があった。ただ、県民の理解は得にくいとの意見もあり、見送った。 県議会最大会派の自民議連(34人)と第2会派の民主県政会(14人)は今任期中に実施する方向だ。一方、党本部の方針を理由に実施しない公明党議員団(6人)など5会派は見送る。自民党広志会(4人)は「90万円で十分な視察はできない」、共産党議員団(2人)ひとわ(1人)ひろしま刷新(1人)は「県の政策に意義があるとは思わない」「県民に観光旅行と思われかねない」などとしている。 義友会(1人)は「状況に応じて検討」、自民党議員会(1人)は「ノーコメント」とした。 この制度での海外視察は2019~22年度の前任期中は新型コロナ禍で実施されなかった。15~18年度の前々任期中には37人が北米や北欧などを訪れ、計3270万円の県費を支出していた。 山口は22年11月、5年半ぶりに海外派遣を再開し、23年7月までに延べ23人がアジアや米ハワイ州を訪れた。鳥取は23年10月、4年ぶりに再開し、県費550万円で台湾とベトナムに計11人を派遣した。 岡山は1期目の議員が1人上限計48万円、2期目以上は同120万円で、いずれも任期中に2回海外に行ける。利用者は前任期の19~22年度に1人だったが、23年度は3人に増えた。 一方、島根は財政難を理由に01年度を最後に海外視察を休止している。広島市議会は任期中に1人1回80万円まで使える制度がある。16年度を最後に実施されていないという。
中国新聞社