義実家にいじめ抜かれた「50歳・子どもなし」のパート主婦…夫を亡くして絶体絶命も、義母と義姉を返り討ちにした「最終兵器」
40代後半の夫に、まさかの重病発覚
陽子さんの夫は、父親の死後、相続したお金の一部を頭金として世田谷区に新築マンションを購入した。陽子さんは引き続き、扶養の範囲でパートをしながら夫の帰りを待つ、穏やかな日々を送っていた。 ところがある日、陽子さんの夫は勤務先の定期検診で深刻な病気が発覚。入院や手術を繰り返すも、50歳の誕生日を過ぎてすぐ、亡くなってしまったのだ。 陽子さんの収入は多くないが、夫を亡くしたことで住宅ローンの返済が免除に。貯金もあり、高額な生命保険も下り、遺族年金も支給され、当面の生活に不安はなかった。 「夫はとにかく、自分の病気よりも私の生活を心配してばかりでした。そのため、司法書士事務所を経営している大学の後輩に相談して、病床で遺言書を準備してくれたのです。〈陽子は事務手続きが苦手だからな! でも、彼が全部やってくれるからね。大丈夫〉と…。司法書士の後輩の方と、病室を出て声を殺して泣きました」
「財産がたっぷり残って、よかったわね」義姉の言葉に傷つき…
夫の死後、夫の両親と姉からの陽子さんへの風当たりはますます強くなる一方だった。なかでも、夫が遺言書を遺したことについて「用意周到」といって責められた。 「姑は、たびたび電話をかけてきては、受話器の向こうで〈健一(仮名)がかわいそうすぎる。死んだのはお前のせいだ〉〈無理やり遺言書を書かせたのだろう〉と叫んでいました。遺言書は夫が自分で用意するといってくれたのに…」 義姉からは「ローンもチャラだし、財産がたっぷり残ってよかったわね」との嫌味もあり、まさに針の筵だったという。 配偶者の親族から棘のある言葉をかけられてショックを受けるという話は、昔からよく聞く。 ARINA株式会社によるアンケート調査では「義親にいわれて1番傷ついたひと言」として多かったものに「息子(嫁)がかわいそう」「給料が少ない」「常識がない」「結婚相手を間違えた」などがあるという。 また株式会社しんげんによる調査では「義両親に対して苦手だと感じること」として最も多かったのが「常識やデリカシーがない」の15.0%。「常識やデリカシーがない」「子離れしてない」ともに12.5%と続く。 「これ以上、あの人たちの声を聞くのが耐えられませんでした…」 傷心の陽子さんは、お世話になっていた司法書士から聞いていた「姻族関係終了届」を提出。夫の親族と縁を切ることにした。 姻族関係の終了に伴い、義親に対する扶養義務はなくなり、また、同居している場合も互助義務が消滅する。死亡した配偶者の家の祭祀承継者になっている場合は、配偶者の家の人に引き続くことができる。 陽子さんは「姻族関係終了届」の提出を亡き夫の実家に知らせたところ、義母は激怒。 「でも、これで正式に他人ですから。〈もう、お宅とは関係なくなりましたので〉といって電話を切り、即、着信拒否にしました」 ちなみに「姻族関係終了届」を出しても、姻族関係が終了するだけで、相続には影響しない。今回紹介した陽子さんにはお子さんがいなかったが、お子さんを持つ方の場合はこの点をよく覚えてきたい。 また、陽子さんの夫は妻に全財産を遺すという遺言書を作成していたが、もしそれがなかったら、陽子さんは遺産の3分の2、義母には3分の1を相続することになる。これはしばしば子どものない夫婦の相続トラブルの原因となるため、該当する方はこの点もよく覚えておこう。 [参考資料] 日本年金機構『遺族年金』 ARINA株式会社『「義親に言われて1番傷ついた一言は?」アンケート調査』 株式会社しんげん『「両親・義両親」に関するアンケート調査』
THE GOLD ONLINE編集部