低価格で誘導し高価格品を販売、一部eコマースの不適切な売り方 中国
【東方新報】中国では多くの消費者が最近、ネットショッピングで低価格表示の罠にはまった事例を投稿している。実際の購入価格は宣伝ページの価格よりもはるかに高かったという。 「工人日報(Workers' Daily)」の記者が、あるeコマースのプラットフォームの某商店の宣伝ページで、画面中央には「本場広東(Guangdong)の砂糖オレンジ、現物10斤(5キロ)」と表示され、その下の方に「新規お客様向けタイムセール価格14.6元(約302円)」と書かれてあったのを見つけた。記者が安いと思って購入しようとしたところ、実際に14.6元なのは1斤(500グラム)の試食用パックのことで、幾つかの分量のパックを選ぶようになっており、最も大きい9斤(4.5キロ)の精選パックの価格は45.56元(約941円)だということが分かった。 この紛らわしい広告表示について、販売者は「注文する際には、それぞれの分量を選択する必要があります。お客様の誤解を招いたことをお詫びします」とコメントしたという。 北京の女性消費者張(Zhang)さんは、ネットショッピングの時にはいつもこのような販売手法を目にすると話す。商店は一番安い価格を表示しているが、実際には幾つもの価格の商品があるのだという。 最近彼女があるeコマースプラットフォームで、有名ブランドのバドミントンラケットを選んでいた時、38.88元(約803円)と書かれたラケットに目を引かれた。「こんなに安い値段があるの?」と購入ページをクリックしてみると、実は38.88元はシャトルの値段で、ラケットの方は100元(約2062円)以上の値段だった。「商店のトリッキーな宣伝や客寄せの仕掛けのせいで、貴重な買い物時間を無駄にした」と彼女は不満を隠さない。 深セン市消費者協会は昨年上期、19のeコマースプラットフォームに対してオンライン実態調査を行い、11のプラットフォームに「低価格による消費者誘導の問題」があることを発見した。 記者はさらに、ソーシャルメディアで多くのブロガーが「陰陽SKU(商品識別コード)」(消費者を誘導するため高い商品と安い商品を同一の商品コード内に混在させる表示手法)を使って、消費者を低価格で誘導する手法を共有しているのを発見した。例えば、SKUを靴の中敷きが10元(約206円)、革靴が2000元(約4万1249円)と設定し、メイン画像には革靴が表示されているのに、価格の方は靴の中敷き10元を書いてあり、紛らわしい。 また消費者が仕掛けに釣られてそのページをクリックすれば、クリック量が増え、ビュー数を増やすことが容易になる。 「陝西恒達法律事務所」の趙良善(Zhao Liangshan)弁護士は、「商店が低価格で誘導し高価格商品を販売することは、実質的に消費者を誤解させる行為であり、虚偽宣伝の疑いがある」と指摘する。 趙弁護士は「消費者権益保護法、電子商取引法などの規定により、経営者は消費者に提供する商品またはサービスの品質、性能、用途、有効期限など全面的に真実の情報を提供しなければならず、虚偽または誤解を招く宣伝をしてはならない。また消費者が商店の虚偽広告の初期証拠をプラットフォームに提供した場合、またはプラットフォームが商店の消費者権利侵害行為を知った場合は、プラットフォームはそれら不正行為の続行を防止すべきで、さもなければプラットフォーム側も連帯責任を負うべきだ」と強調している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。