スカウトが注目する大谷・藤浪世代!
一回戦で、みちのくの異色右腕、仙台大、熊原健人に投げ勝った九州産業大のエース、高良一輝も沖縄・興南高出身の3年生。ヤクルトの松井・編成部長は、「熊原に負けないくらい高良が良かったね。ストレートが伸びるしコントロールもいい。素材としては、来年上位に上がってくるだろう」と、高良に目を向けていた。 興南高時代は、中央大を経てソフトバンクに入った島袋洋奨の2年後輩。3年夏は、甲子園に出れなかったが、大学に進んでからメキメキと頭角を現してきた投手だ。 「高良は、バッターから腕が綺麗に体に隠れてまったく見えない。ストレートの表示は、144キロ前後だが、あれだけ空振りを取れているのは、そういう工夫があるからだ」 そう分析していた阪神の池之上スカウトと、こんな話をした。 「松坂世代という言葉があったけれど、来年の藤浪・大谷世代が面白いよ。一人、二人と大物が揃って出る世代には、粒がそろう。切磋琢磨するライバル心が、どこかで影響しているのかもしれないけれどね。ドラフトでも豊作と呼ばれるという年があったり、不作と呼ばれる年があったりするのも、不思議な流れだが、大学、社会人に進んで、体の成長と共に技術も伸びて、一気に成長する選手も少なくない。環境の合う合わないもあるんだと思う。地方大学で、試合出場機会をもらうことで頭角を現す選手もいるからね。僕らスカウトは、今秋のドラフトは。もちろんだけど、来年、再来年と、見据えて選手の成長過程も常にチェックしている。藤浪・大谷世代は、要マークやね」 日ハムの“二刀流”大谷翔平は、プロ初となる開幕投手から、7連勝するなど、一皮むけたような進化を見せている。阪神の藤浪晋太郎も、スタートこそドタバタしたが、現在は力まぬ投球フォームを会得、抜群の安定感を示している。 大谷・藤浪世代で、現在、1軍の戦力となっているのは、広島の緒方監督が、その能力に惚れ込んでいる鈴木誠也(二松学舎付)、千葉ロッテで里崎智也の引退後の正捕手を争っている田村龍弘(光星)、中日で先発抜擢を受け2日の交流戦の西武戦で6回を無失点に抑えプロ初勝利を手にした若松駿太(祐誠)の3人。大学を経たその世代が、プロ野球の世界に揃ってくる2017年のシーズンが今から楽しみである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)