捨てられるはずの熱を再利用!「リサイクルエネルギー」でCO2削減へ…一足早く導入した帯広の病院を徹底取材!
これらの排熱を病院中から集めて、地下のパイプを通ってエネルギーセンターへ送られます。それが、先ほどの熱回収ヒートポンプへと繋がる仕組みです。ここで回収された熱が、各部屋の暖房や冷房・給湯に再び使われます。 このリサイクルエネルギーと従来のガスや電気といったエネルギーとを組み合わせることにより、帯広厚生病院ではCO2年間約800トンの削減に成功しました。 これは従来の給湯・空調設備と比べて2割以上の削減になります。 山川教授はこの帯広厚生病院のリサイクルエネルギーをテーマにした実証研究により、ことし1月に空調技術分野で最も権威のあるアメリカの学会で世界最優秀賞を受賞しました。 しかし、実はこの熱回収の仕組み自体は昔からあると言います。コストも初期投資はかかるものの、ランニングコストが抑えられるため数年で回収可能な範囲とのこと。実際に一部のオフィスビルやデータセンターでは使われているそうですが、なぜまだ広く普及していないのでしょうか。山川教授に問い掛けてみると… 「いま冷房とか暖房しようとすると部屋ごとにエアコン付けたり給湯機は別に設けてというのが普通のやり方。全部まとめてセントラル(一括での管理)でやる考え方が普及していないのでそこがハードル」との答えが。 山川教授はこの技術が普及して、ゆくゆくは家庭でも使えるようになればますますCO2削減に寄与するだろうとも述べています。今後は「リサイクルエネルギー」の普及に向けて勉強会も立ち上げたいということです。