『マイダイアリー』が描いたモラトリアムの終わりとその先 優希が“未来”を見られるように
大学を卒業して変わってしまった優希(清原果耶)と広海(佐野勇斗)の関係性
大学を卒業して、変わってしまった優希と広海の関係性。2人の環境が同じだったときは、何もかもが違っていても、同じ歩幅で歩くことができた。でも、環境が変わると、その歩幅にだんだんとズレが生じてくる。一緒にいたいのに、一緒にいるとしんどくなる。自分が、広海の可能性を奪っているのではないだろうか? そんなふうに考えているうちに、優希は自分の気持ちが分からなくなってしまったのだろう。だからこそ、彼女は“人生の日記”を読み返すことにした。 “現在”だけに目を向けると、別れた方がいいのかもしれない……と思ってしまう。でも、“過去”を振り返ると、広海からたくさんのギフトをもらっていたことを再確認させられる。「優希は、自分の知ってる世界を誰かに教えるってとても楽しいことなんだと気づかせてくれた」と手紙に綴った広海もまた、“人生の日記”を読み返していたのかもしれない。 「距離は離れても、僕は優希のことをひとりにさせない。だから、これからもう一度、一緒に生きていっていただけないでしょうか」 「アメリカの大学に行ってしまったら、優希や仲間たちとの距離が離れてしまうのではないだろうか?」と不安になっていた広海が、渡米を決意することができたのは、「奇跡は、5人いるかぎり、決して崩れない」と確信できたから。“現在”のことで悩み、「私はふと、人生の日記を読み返したくなった」と“過去”を振り返っていた優希が、最終回では「私はふと、人生の日記の続きを書きたくなった」と“未来”を見られるようになった。 これからもきっと、心の距離が離れてしまうことはあるだろう。でも、そこで諦めずに、きちんと向き合う努力をすることができる彼らなら、きっと大丈夫。わたしも、今晩は“人生の日記”を読み返しながら、大切な人に電話をかけてみようと思う。
菜本かな