現代人が「聖人」になる方法、“神のインフルエンサー”がミレニアル世代で初の聖人に
誰がなれる？ どうすればなれる？ どんな奇跡を起こせばいい？
「神のインフルエンサー」「インターネットの守護聖人」などと呼ばれたイタリア人のカルロ・アクティスさんは、間もなく本物の聖人になろうとしている。7月1日、ローマカトリック教会は、2006年に白血病のため15歳でこの世を去ったアクティスさんを、ミレニアル世代（1980～1990年代頃に生まれた世代）で初の聖人に列することを承認した。 ギャラリー：謎に満ちたロマの守護聖人サラ・ラ・カリ 写真8点 伝統的な聖人のイメージを覆すこの発表は、大きな反響を呼んだ。アクティスさんは、聖書の登場人物でもなければ、十字軍の殉教者でもない。テクノロジーに詳しく、世界中で起きた聖体の奇跡をまとめたウェブサイトを作成したことで知られる。つまり彼は、現代の聖人だ。 「列聖とは基本的に聖性を問われるものですが、時代に即しているかということも重要です」と話すのは、『A Saint of Our Own（私たちの聖人）』の著者で米ノートルダム大学歴史学教授のキャスリーン・スプロウズ・カミングス氏だ。 若者のカトリック教会離れが広がるなか、ミレニアル世代初の聖人以上に今の時代に重要な人物はいないのではないか。「若者たちは、アクティスさんに自分自身を重ねられます。聖人とはそもそも、そのような存在なのです」と、カミングス氏は指摘する。 それにしても、今の時代、聖人になるためには何が必要なのだろうか。古代より続くカトリックの伝統が、時の流れに応じてどう変化しつつあるのかを見てみよう。
誰が聖人になれるのか
カトリック教会では、立派で高潔な人生を送って神の永遠の臨在に入った、つまり天に帰ったことが正式に認められた人物が、聖人とされる。 聖人は、天国でほかの人々と区別されるわけではなく、ただ地上において崇敬の対象となる。例えば、教会にその人のための祭壇が設けられたり、記念日が定められたりする。 しかし、立派で高潔な人生を送ったからといって、誰でも聖人になるわけではない。聖人に列せられるまでのプロセスは驚くほど複雑で、そして戦略を要する。 誰かを聖人として認めてほしいという調査の申請は誰でもできる。だが、その申請に本当に価値があるのだということをまず自分の教会の神父に説明し、納得させなければならない。また、聖人の候補になるには、死亡してから5年以上経過していなければならない。ただし、教皇が例外を認めることはある。 審査が始まると、現地の調査員が候補者の著作物を丹念に調べ、その人物の徳を示すような、信仰、希望、慈愛、正義、勇気について、その人物を知っていた全ての人に話を聞く。これらの徳が示されていたら、教皇の承認を経て、聖人の前々段階である「尊者」と宣言される。 次に、奇跡について調べる。その人が1つでも奇跡を行ったことが示されれば、「福者」となり、特別な栄誉を与えられ、崇敬の対象となる。さらにこの段階で2つ目の奇跡が起これば、聖人として教会に正式に認められる。
