エミン・ユルマズ氏「PERではなくPEGレシオを使うべきだ」 PERだけで「割高・割安」を判断することが危険である理由
『会社四季報』は、日本国内全上場3900社超の業績、財務、株価、独自予想などを網羅した企業情報誌で、株式投資のバイブルとして多くの投資家に愛されている。いまや2000ページを超える四季報を、15年間全ページ読み続けたのが、数々の経済予測を的中させる最強のエコノミスト、エミン・ユルマズ氏である。 本記事では、エミン氏の四季報活用術が全公開された『エミン流「会社四季報」最強の読み方』を一部抜粋・再構成のうえ、PERだけで割高・割安を判断するのが危険である理由について解説する。
■PERは参考にならない PERで株価の割高・割安を判断する個人投資家は多いが、私はほとんどそれに投資判断の重きを置いていない。 なぜなら、PERで株価の割高・割安を判断するのは、いささか危険な側面を持ち合わせているからだ。PERには多分に、その企業に対する期待感が含まれているし、グロース株のように高い成長期待を伴っている企業の株価の割高・割安をPERで測ろうとしても、あまり当てにならない。 グロース株でPERが30倍、40倍をつけたとしても、利益の成長率が極めて高ければ、一概に割高だとは言い切れない面もあるのだ。PERを用いるくらいなら、私はPEGレシオをおすすめする。PEGとはPrice Earnings Growthのことで、次の計算式で求められる。
PEGレシオ=PER÷営業利益の成長率 これによって、そのPERが本当に割安なのかどうかを判断できる。この指標の信頼性をさらに高めるために、過去2期の営業利益の成長率平均を使うという手もある。たとえば過去2期における営業利益の成長率が20%だとして、その企業のPERが40倍だとすると、PEGレシオは2倍になる。 一方、PERが同じ40倍でも、営業利益の成長率が10%の銘柄だと、PEGレシオは4倍になる。当然、PEGレシオが2倍の銘柄に比べて、4倍の銘柄のほうが、株価が割高という判断になる。