これからの時代は「フレックス退職」。若手にスキル・知識を継承しながら、余暇を楽しむ働き方
かつて、アメリカでは第二次大戦後に生まれたベビーブーマーが一斉に社会進出をしましたが、今ではベビーブーマー、さらにはX世代の高年齢層までもが大量退職の時期を迎えています。 これはすでに悪化している労働力不足が、どの業界でもさらに悪化するということになります。 大量離脱が労働市場を揺さぶる中、後継者育成計画を策定し、長年の経験に基づいたノウハウの引き継ぎが、十分におこなわれるまで労働者を会社に引き留めようと、各企業は躍起になっています。 そこで解決策として、「フレックス退職プログラム」というものが現在検討されてきています。
会社・退職者の双方にメリットがある
フレックス退職と聞くと、フルタイムの仕事をリタイアしたあと、「時間を持て余すことがないように」や「社会から孤立しないように」といった理由で、地元のお店の販売員など、非常勤の職務に就くことを思い浮かべるかもしれません。 しかし、そういう意味ではありません。フレックス退職は、従業員が退職者へとスパッと切り替わるのではなく、従業員がバランスをとりながら働いていくことです。 フレックス退職によって、従業員はセミ・リタイアする機会を得られるのです。現在の仕事から完全に離れてしまったり、新しく非常勤の仕事に就いたりすることはありません。 重要な決断のイニシアチブを取ったり、プロジェクトベースで参加したり、あるいは指導的役割に注力できるのです。 これにより、企業は経験を積んだ労働者を会社に長く引き留め、その長年の知識をほかの人に引き渡すことができます。知識ギャップを埋め、若い世代の労働者にスキルを与えられるというわけです。 今までは、従業員が独立コンサルタントとして仕事をすることがよくありました。 しかし、従業員として会社に残り、会社の福利厚生プログラムを利用し、引き継ぎを行ないながら、退職したあとにどう過ごすかを模索できるようにすることは、両者にとって価値があることでしょう。 フレックス退職は新しい従業員の身分として機能します。双方の都合が良い時に働くことで、労働者は非常勤で働きながら、余暇を楽しむことも可能なのです。