柔道指導 まな弟子「銅」 福島県警OB田村さん(本宮市出身) パリ五輪でタジキスタン代表コーチ
元福島県警察官の柔道家が五輪メダリストを育てる夢をかなえた。県警OBの田村徹さん(63)=福島県本宮市出身=はロシアに渡り、タジキスタン代表のソモン・マフマドベコフ選手(25)を約5年間、マンツーマンで指導。まな弟子をパリ五輪の男子71キロ級銅メダルに導いた。「教えられることは全て伝えられた。素晴らしい結果を残してくれた」と達成感に浸っている。 田村さんは中学1年で柔道を始めた。二本松工高(現二本松実高)時代に県大会3位などの成績を残したが、全国大会出場の目標は果たせなかった。県警察官となってからは主に術科指導者として後進の育成に励み、国体では福島県柔道チームの監督を長年務めた。 柔道の世界普及を進めるいわき市のNPO「J―spirit」関係者の勧めで海外選手を育てる第2の人生に魅力を感じ、2016(平成28)年に県警を退職。モンゴルでの活動を経て、2019年6月にロシア・イルクーツクにある道場の指導者に就いた。ジュニアの世界大会で入賞するなど頭角を現していたソモン選手と出会った。
ソモン選手は腕力が強い一方、技術面が課題だった。相手の道着を力任せに握るため、うまく技を繰り出せなかった。「組手では中指、薬指、小指の3本で道着をつかむ」「親指と人差し指は添えるだけ」などの基本を根気よく教えるうちに余分な力みが取れ、実力が上向いていったという。 田村さんはタジキスタン代表チームのコーチとしてパリ五輪に同行し、ソモン選手の快進撃をそばで支えた。道場との契約満了に伴い帰国し、現在は千葉県に滞在している。30日、取材に対し「ゆっくり休んでから、今後は古里福島で柔道の普及に貢献していきたい」と今後について語った。