リディア・コーの強さを元トレーナー・斎藤大介が語る
自分の調子を客観的に分析できることはスウィングの再現力の高さにも繋がる。動きを分析できてすぐに理解できる。そしてイメージした動きがすぐにできるのだ。斎藤トレーナーにはケアのときも体の状態を細かく伝えていた。 「体調をアジャストするのって一流の条件だと思うんですけど、リディアは練習の前に『今日はこの辺の筋肉が抜けているからここを締めてくれたらスウィングにキレが出る』など、体の状態を詳細に伝えてくれます。人よりも力もないし、飛ばせるわけでもないですが、体の調子を冷静に分析できる力とその分析を活かす力はすごく高いと思います」 さらに、斎藤トレーナーが挙げるリディアの強さの秘密は、27歳とは思えない「豊富な経験」だと言う。10代から世界のトップで活躍し続けてきたリディアの経験が、セントアンドリュースの強風にも怯むことなく冷静に対処できた要因なのだろう。 16歳でプロ転向し、18歳で「エビアン選手権」と「ANAインスピレーション」の2つのメジャーを制し、2016年のリオ五輪では銀メダルを獲得。東京オリンピックでは銅、パリ五輪では見事金メダルを取り、金、銀、銅3種類のオリンピックのメダル保持者となった。リディアがこうした数々の試合でタイトルを獲得できたのは、リディアの大舞台に合わせられる調整力の高さゆえだ。そして、その調整力を支えているのは、「リディアの家族」の存在が大きいと斎藤トレーナーは言う。 「リディアは、10代からツアーに参加しているので、いつも母とマネジャーで姉のスラ・コーさんとともに海外遠征しているんです。米LPGAの試合の朝食では、洋食かその地域の料理から選べるビュッフェを食べることができます。しかし、リディアはいつもホテルではなく、キッチン付きの部屋に滞在して、お母さんが韓国料理を作っていました。いつも韓国料理を食べられるのは、海外の試合での調整力の高さにも繋がるのではないでしょうか」(斎藤トレーナー) 小さい頃からのこうした家族のサポートが、大舞台に強いリディアの原動力になったのだ。 PHOTO/Tadashi Anezaki、本人提供、Getty Images、Blue Sky Photos ※週刊ゴルフダイジェスト2024年10月1日号「リディア・コー 強さの秘密」より
週刊ゴルフダイジェスト