野村克也が語る「監督の仕事」
『ON』のような愛称でスター選手を盛り上げよう
平成においてヤクルト、阪神、楽天で監督を務めた筆者が通算勝利で1位だった/写真=BBM
いよいよ『令和野球』が始まった。『令和』の2文字にふさわしいのは、どんな野球だろう。相手を敬い、チームのためには自己犠牲を厭わない? まあ「レイ」の字は違うが、「礼儀正しい野球」も望ましい。 ところが、だ。日本プロ野球界としては困ったことに、盛り上がる材料がない。まず、スーパースターがいないのだ。大谷翔平(エンゼルス)はメジャーに行ってしまった。長らく巨人中心でやってきた日本プロ野球界。今、巨人のスターといえば菅野智之、坂本勇人あたりか。だが、いかんせんこれでは弱過ぎる。ONのように、何かキャッチフレーズを作って、盛り上げなければならないのではないか。 そういえば近年、プロ野球ファンの誰もから愛され、広く認知されるキャッチフレーズを見かけない。昭和の時代に、出尽くしてしまったのかな。 坂本と四番・岡本和真で『本本(もともと)コンビ』? あるいは『本本(ポンポン)コンビ』か。『もともとコンビ』はなんだか打てなさそうだし、『ポンポンコンビ』ではポンポン、ポップフライを打ち上げる淡白な打線になりそうだ。もっとも、今の巨人の野球そのものが淡白だから、ちょうどいいのか。 そもそも、一度クビにした人間を呼び戻して監督に据えるなど、巨人といいヤクルトといい、何を考えているのだろう。こんな前例、あったかな。5球団で監督を歴任した三原(三原脩)さんも、クビになった球団で再登板することはなかったはずだ。 裏を返せば、それだけ人材不足ということ。例えば三原、水原茂、鶴岡一人の三大監督のあと、誰が監督になるか。あのころは将来の監督はこの人だろう、と予測ができた。つまり監督の“器”たる人物が、次々あとに控えていたということだ。ところが今は、その“器”を感じさせる人間がほとんどいない。 何度も言うが巨人、ヤクルトに限らずどの球団も・・・
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週刊ベースボール