【全国の活断層】Sランク最新の地震発生確率が公表 そこに『今回の能登半島の活断層』がないのはナゼ?理由を専門家に聞いた
「なぜ、今回の能登半島の活断層は未掲載なのか」
評価された活断層の一覧を見て気になる点がありました。今年の正月に能登半島で巨大地震を起こしたとされる能登半島付近の活断層は、S、A、Z、Xランクを含めて長期評価の一覧に含まれていないのです。現地では数年前から群発地震も起きていたのに、これはどういうことでしょうか。京都大学防災研究所の西村卓也教授に聞きました。 ――今回動いた能登半島の断層は、政府の地震本部や専門家にとって「未知の断層」だったのでしょうか? 西村卓也教授: 「能登半島『沖』の活断層は、活断層の専門家にはよく知られた断層です。国土交通省や石川県の津波想定のための断層としても用いられています。ただし、地震本部の活断層としては評価されていませんでした。」 ――確かに、石川県の資料(画像右)には、今回の震源付近の断層が記載されて、津波想定もされています。いっぽう地震調査委の資料(画像左)に活断層は未記載、なぜ評価対象に入っていないのでしょうか。
結果的に間に合わなかった海域の活断層評価
西村卓也教授:「それは、地震本部は『まず陸域の主要活断層の評価を行ない、海域の活断層の評価はあと回しになっていた』からです。能登半島の活断層は、海岸線よりも海側にあるため、評価されていなかったことになります。」 西村教授によりますと、「日本海側にある海域の活断層は、3つに分けて西から順に評価する予定」で、最も西にある九州・山陰沖の評価が2022年3月はじめに公表され、現在は近畿・北陸沖の評価を行っている最中だったということです。結果的に、海域活断層を対象とした地震評価委の長期評価は、今回の地震発生に間に合いませんでした。 ――能登地震のように、長期評価されていない活断層が、突然動いて揺れることはあるのでしょうか。
「ランキング順に危ない、と短絡的に理解することは危険」
西村卓也教授:「活断層の見つかっていない地域でも大地震がおこりうることは十分ありえます。そもそも長期評価する活断層は、原則M7.0以上の地震をおこす活断層を対象に評価しているもので、それより小さい規模の地震については考慮されていません。」 「2018年大阪府北部地震(M6.1)のような規模の地震は対象外です。ただしマグニチュード6級の地震でも、発生場所によっては、大きな被害が出ることを、大阪府北部地震は示しています。」 活断層のランク分けについて、京都大学の西村卓也教授は、「単にランキング順に危ない、と短絡的に理解することは危険です。条件を十分理解していただいて、データをお使いいただくのが良い」としています。 地震調査委員会も、「日本は世界的に見ると地震活動が活発で、ランク分けに関わらずどの場所においても、強い揺れに見舞われるおそれがある」と、対策を講じる必要性を訴えています。