救急車は「無料」ではない!? 理解しておきたい搬送時に「かかる費用」のこと
日本では、緊急性の高い病気にかかったりけがをしたりした場合に利用する救急車は、国民の税金から費用をまかなっているため、世界的にも珍しく、救急車を呼んだり利用したりする際の費用が発生しません。 しかし救急車を呼んだときに、利用以外で費用が発生する可能性があることはご存じでしょうか。 今回は、救急車を利用したときにかかる可能性がある費用についてご紹介します。救急車を呼ぶべきかどうかを迷った際の対処法についても説明しているため、参考にしてください。
救急車の費用とは?
日本では税金でまかなわれているため、救急車を呼ぶ際には料金が発生しません。しかし運ばれた病院によっては、費用がかかる場合があります。ここでは、どのようなときに費用がかかるのかについて解説します。 ■救急車で搬送されたときに費用がかかるケース 救急車で病院へ運ばれた際に、入院の必要がないなどの、比較的緊急性の低い症状や状態の場合は費用がかかります。 これを「初診時選定療養費」といい、紹介状を持たない患者が200床以上の規模を持つ地域医療支援病院を受診したときは、追加徴収することが厚生労働省により義務付けられているためです。 厚生労働省によると、紹介状なしで該当する病院を受診した場合は、7000円以上徴収することとしています。症状が軽い人が救急車を利用して病院で受診することは、紹介状なしで受診することに該当するため、費用がかかるのです。 また病院で受診したあとで、自力で帰宅できる場合は、帰宅するための交通費が別途必要になり、そのほかにも治療費や薬代もかかります。 ■救急車で搬送されたときに費用がかからないケース 入院が必要になるなどの緊急性の高い状態であった場合は、初診時選定療養費はかかりません。 また、搬送先の病院で受診して入院が必要であることが分かった場合や、国の公費による「公費負担医療制度」の対象者も、同様に初診時選定療養費は発生しません。公費負担医療制度とは、病院での受診料や薬代などの医療費の一部または全額が公費でまかなわれる制度です。 費用が発生するかどうか、症状が安定して落ち着いたタイミングで聞いてみましょう。 ■救急車を利用するか悩んだら 急病人を見つけたときや自分の体調に異変を感じたときには、救急車を呼ぶことがあるでしょう。しかし、救急車を呼ぶべきかどうか迷ったときは、以下の3つのうち、どれかの方法を試してみてください。 ●救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)」を利用する ●救急安心センター事業「#7119」に電話相談する ●自治体やかかりつけ医に相談する 救急受診アプリ「Q助(きゅーすけ)」とは、現在の症状を選択するだけで患者の緊急度が分かるアプリです。消防庁が提供しているアプリで、パソコン・スマホ共に利用できます。 #7119とは、一部の自治体で設置されている救急相談ダイヤルです。看護師などの資格を有するスタッフが対応してくれるため、状態を伝えることで適切なアドバイスを受けられます。救急相談ダイヤルに対応していない自治体でも、独自の相談窓口を設置しているケースがあるため、確認してみましょう。 また、ご自身のかかりつけ医や最寄りの病院に問い合わせて、アドバイスを受ける方法もあります。