加藤学園「夢舞台」へ 挑戦者、立ち向かう(その1) /静岡
<センバツ高校野球> ◇春夏通じ初の甲子園 24日に開かれた第92回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会で、沼津市の加藤学園が東海地区代表に選ばれた。創部24年で春夏通じて初の甲子園出場となる。県東部からのセンバツ出場は1992年の御殿場西以来28年ぶり。夢舞台への挑戦権を得た選手たちは「全員野球で勝ち進みたい」と喜びの声を上げた。組み合わせ抽選が3月13日にあり、阪神甲子園球場で同19日に開幕する。【池田由莉矢、石川宏】 午後3時17分、校長室の電話が鳴り、加藤瑠美子校長に東海地区代表に選ばれたことが知らされた。加藤校長は「ありがたくお受けいたします」と答え、受話器を置くと、目元には涙が浮かんでいた。「泣くつもりではなかったのに」と笑いながら、ハンカチで拭った。 加藤校長はグラウンドに向かい、「めでたく決まりました」と選手たちに報告。こわ張った選手たちの表情は満面の笑みに変わり、「よっしゃー」と全員で人さし指を空に向かってつき上げて、喜びを爆発させた。 米山学監督(41)や勝又友則主将(2年)らは次々と胴上げされ、グラウンドは笑い声に包まれた。この日が誕生日だった山田泰基部長(26)も胴上げされ、「ありがとう」とナインらの祝福に応えた。 勝又主将は、中学2年の3月に甲子園のスタンドで観戦した静岡高と大阪桐蔭高の試合に触れ、「選手の連係が取れていてレベルの高い試合だった。同じ舞台で戦えることがうれしい」と話した。エース・肥沼(こいぬま)竣投手(2年)は「幼少期からの夢だった甲子園が決まり、人生で一番うれしい。直球のコントロールで勝負したい」と意気込んだ。 林口泰地前主将ら昨夏引退した3年生もグラウンドに駆け付け、下級生に「おめでとう」と声をかけた。 3年生11人は引退後も練習に協力してきた。「応援してきた分、素直にうれしい。甲子園でも攻めの野球を貫いてほしい」とエールを送った。 ◇藤枝明誠落選も 夏へ決意新たに 昨秋の東海大会で加藤学園と同様に4強入りし、初のセンバツ出場が期待された藤枝明誠(藤枝市)は出場校から漏れ、東海地区の補欠校となった。 午後3時半過ぎに県高野連を通じて落選の知らせを受けた塙博校長(69)は室内練習場に移動し、ウオーミングアップ中だった選手らを集めて「残念だったが、この悔しさを生かしてほしい」と伝えた。村松杏都(あんと)主将(2年)は「選ばれなかった悔しさはあるが、目標は甲子園で勝つこと。夏に向けて短所を克服したい」と前を向いた。【大谷和佳子】 ◇沼津駅前や学校で号外2000部配布 加藤学園のセンバツ出場決定を受け、沼津市のJR沼津駅前や同校では、毎日新聞の号外約2000部が配られた。 駅前で号外を受け取った元野球部員で桐陽高校3年の棈松(あべまつ)真那斗さん(17)は「加藤学園はライバル校だった。県東部の高校がなかなか甲子園に出られない中で、今回の出場決定はうれしい。甲子園では加藤学園らしい力強い野球を見せてほしい」とエールを送った。【垂水友里香】