神山健治監督が語る勇敢な2人の姫『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』
2004年の『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』日本公開から20年の時を経て公開されるシリーズ最新作『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』。本作の神山健治監督が“主人公ヘラ”について、実写映画に登場するローハンの姫エオウィンと通ずる魅力を語った。 【画像】実写シリーズに登場したローハンの姫・エオウィン 本作で描かれるのは、“あの指輪”をめぐる壮大な冒険へと繋がる、まだ誰も知らない伝説の戦い。その中心に立つのは、誇り高き騎士の国ローハンの若き王女ヘラ。強く優しい気高き王女として成長していく姿は、観る者の心を強く惹きつける。 ヘラは原作「指輪物語 追補編」のわずか1行だけに登場する“名もなき姫”から誕生したという。 神山監督は「この企画で僕が面白いと思ったのは、『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』から200年前の世界で“人間”が主人公であるという点と、ヘルム王を主人公としながらも、彼を最後まで見届けた映画オリジナルのキャラクターをもう一人の主人公に添えているという点でした」と語る。 「原作『指輪物語 追補編』には“ヘルムには娘がいて、求婚されるも断った”と書かれていたその娘をヘルムの傍観者とし、ロード・オブ・ザ・リング(LOTR)では初となる人間の女性を主人公にする。フィリッパ・ボウエン(製作)のアイデアはとても野心的でチャレンジングなものでした」と当時の心境をふり返る。 また、「『二つの塔』でもセオデン王の姪であるエオウィンが活躍しますが、剣を持つことすら禁じられていたし、そもそも女性が王位を継ぐ権利などない時代です。トールキンの原作では、名前も与えられていなかったその姫ですが、女性であるがゆえに唄に謳われることもないまま、ヘルムの最後の戦争の裏で大変な活躍をしていた、というアイデアは僕のドラマツルギーとも一致するものでした」と、そのドラマ性に共鳴したことも明かしている。 剣を握るヘラの姿は、確かに実写『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでミランダ・オットーが演じた勇敢なローハンの姫・エオウィンを彷彿とさせる。 その点について、神山監督は「エオウィンよりも先に、同じことをした人物が存在した、としてしまうとエオウィンの尊厳を落としてしまう可能性があったので、そこは注意して描きました」と明かし、ヘラというキャラクターを生み出すにあたって、フィリッパ・ボイエンと幾度となく議論を重ねたそう。 脚本を担当したフィービー・ギッティンズは、「エオウィンとヘラ、どちらの女性もしっかりと自立し、強い意志を持っていて、自分の気持ちを包み隠さずに表現します。恐れから逃げず、正面から勇敢に立ち向かっていくんです」と2人の共通点を明かす。 一方で、ヘラの独自性について「初めは比較的平和な時代を過ごしているので、自由奔放な面も表現しました。彼女には野性的な一面があり、周りの世界への好奇心と愛情にあふれ、冒険家精神があります」と語っている。 物語の序盤で見せる、好奇心旺盛な一面から、やがて大きな責任を背負い、内に秘める強さと意志とともに運命に立ち向かっていくヘラ。その成長と葛藤が、壮大な戦いの物語の中で丁寧に描かれている。 なお、エオウィンは本作の語り手として声で登場し、ミランダ・オットーがボイスを担当。日本語吹替版では坂本真綾が担当している。 『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』は12月27日(金)より全国にて公開(吹替/字幕版同時公開※一部劇場除く)。<Dolby Cinema®/Dolby Atmos®/4DX/MX4D/IMAX®> LOTR TM MEE lic NLC. © 2024 WBEI IMAX® is a registered trademark of IMAX Corporation.
シネマカフェ シネマカフェ編集部