安くて広くて走りヨシ!これで買わない理由がない!!【スズキ・フロンクス試乗レポート】
コンパクトでスタイリッシュなクーペSUVとして、デビュー前から期待が高まっていたスズキ・フロンクス。発売開始に合わせて試乗する機会を得られたので、その走りをお届けしたい。 【写真を見る】こんなクルマが200万円台で買えるってマジか? PHOTO:中野幸次/佐藤亮太/MotorFan.jp編集部 乗ってみてわかったスズキ・フロンクスのウルトラコストパフォーマンス! あらためてこのクルマの成り立ちをざっと説明すると、インドのグジャラート工場で生産され、それを日本へと導入したものだ。インド生産車の日本市場への導入は、かつてバレーノで行われていたが、このフロンクスは2022年から世界で販売されている2代目バレーノをベースに仕立て上げられている。 エンジンは1.5L直4DOHCのK15C型で、これにマイルドハイブリッドと6速ATを組み合わせる。日本市場向けに4WD仕様も設定されていることも注目のポイントだ。 全長は3995mmと、4mを切るほどのコンパクトさ。他のコンパクトSUVを見ると、トヨタ・ヤリスクロスが4200mm、ホンダWR-Vが4325mmで、5ナンバーサイズに収まるダイハツ・ロッキー&トヨタ・ライズがフロンクスと同じ3995mmなのだから、フロンクスの短さが際立っているのがわかる。それでいて全幅は1765mmと全長4mを超えるライバルと同等の広さ。さらに全高は1550mmと、機械式立体駐車場にも対応する高さに抑えられているのだ(前出の3台はいずれも機械式立体駐車場には非対応)。 1.5Lのトルクと6速ATのおかげで小気味良く走る 前置きはこのくらいにして、いよいよフロンクスで走り出してみよう。運転席に腰を下ろすと、最初にシートのつくりにまず驚かされた。小ぶりなシートで身体の要所要所をサポートする……というのではなく、シート自体のつくりが大ぶりで、ふわりと身体を包み込んでくれる感覚だ。特に背中から脇にかけての収まりが心地良く、安心感も覚える。 いざ走り出してみると、フロンクスは出足から1速で引っ張って速度を乗せていく。1速で回転を上げていった時のエンジン音が少し気になるかな、とは思ったが、CVTのようにエンジン回転数だけが先走って上がる感覚では無いので違和感を感じることはない。これは6速ATを採用しているメリットだ。パドルシフトをつかってのシフトチェンジも素早く自然な仕上がり。 一度速度を乗せてしまえば、あとは6速ATがこまめに変速してエンジンの存在感を極力小さくしながら流れに乗っていく。速度の調整も1.5Lのトルクを生かし、もどかしさを感じこともない。ちなみにフロンクスにはスポーツモードが設定されているが、これをONにすると、特に速度を乗せた状態からアクセルを踏み込んだ時の加速に違いを感じた。通常だと一呼吸置いてからキックダウンして加速し始めるところ、スポーツモードをONにしていると、その「一呼吸」がなくスムーズにキックダウンして加速に入る。高速道路で追い越しを掛けたい時や、ワインディングのコーナー立ち上がりでは、よりリニアな加速につながるだろう。ただ、市街地でストップアンドゴーを繰り返すような場面では、ちょっと元気過ぎると感じるかも……。 ハイレベルな制御のACC&LKA ちなみにフロンクスにはアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)と、レーンキープアシスト(LKA)が搭載されているが、このACCとLKAの制御のスムーズも特筆すべきレベルにある。ACCをONにして走っていて、前のクルマが速度を大きく落とした時には、車間が詰まってきたな……と感じたあたりから速度をじわりと落とし始め、次第にブレーキの効きを強めてスムーズに停車する。制御が甘いACCには「ちょっと車間詰まってきたけど大丈夫!?」と不安になるところから一気にブレーキを強く掛けて停車するものもあるが、フロンクスのACCは運転に慣れたドライバーのようにスムーズだ。前が開けた時の再加速も、もどかしさを感じず、それでいて「加速し過ぎ!」と思わせないちょうどいい塩梅。そしてLKAもビシっと中央をキープして、無駄に車線内を右に左にピンボールのように動くことはない。カーブでの操舵もスッとステアリングを切っていくので無駄な横Gを発生させないのだ。同乗者も「ACCやLKAを使って走っていると思わなかった」と言っていたほどなので、その動作のスムーズさは高いレベルにある。 ハンドリングは……というと、正直筆者の腕前はハンドリングを云々語れるレベルにないのだが、それでも直進安定性の高さと取り回しの良さは感じられた。コーナーに入る時でも、全高の低さと全幅の広さからくる低重心のおかげで車体がぐらりとくる感覚もなく、自然に曲がってくれると思えた。 試乗はFFと4WDの2台行ったのだが、FFと4WDの違いは走らせてみてわからなかった……というのが正直なところ。ただ、日本向けに4WDの特性をつくりこんだということなので、降雪地などでは選ぶメリットはあるはずだ。 フロンクスを走らせてみて思ったのは「コンパクトカー」というくくりを外しても、十分に良いクルマであるということだ。ボルドーカラーの落ち着いた室内の質感も高いし、後席の広さもラージセダンと思えるほど。4気筒エンジン+6速ATの走りはスムーズで安っぽさはまるで感じない。そして何よりカッコいい。そんなクルマが200万円台で買えてしまうのだ。これだけコストパフォーマンスに優れたクルマは最近ちょっと無い。知り合いから「フロンクスってどう?」と聞かれたら「絶対に買いだよ!」と迷いなく答えるだろう。 試乗車の仕様 フロンクス FF 車両本体価格:254万1000円 装着オプション:フロアマット(3万2780円)、ETC車載器・ETC取り付けキット(2万6400円)、ドライブレコーダー(4万7740円)、テレビアンテナ(2万2220円) ボディカラー:スプレンディットシルバーパールメタリック ブラック2トーンルーフ(5万5000円) 合計:272万5140円 フロンクス 4WD 車両本体価格:273万9000円 装着オプション:フロアマット(3万2780円)、ETC車載器・ETC取り付けキット(2万6400円)、ドライブレコーダー(4万7740円)、テレビアンテナ(2万2220円) ボディカラー:アースンブラウンパールメタリック ブラック2トーンルーフ(5万5000円) 合計:292万3140円
MotorFan編集部