湖南市役所

　滋賀県湖南市職員が市浄苑（火葬場）で遺体を撮影した不祥事で、撮影された故人とは別の遺族に市が謝罪していたことが21日、分かった。関係者によると、不祥事の発覚後に調査した市が故人を間違え、後の滋賀県警の調べで別人であることが判明したという。市は不祥事の詳細を公表しなかった理由に「被害者側の意向」を挙げていたが、市の調査ミスが不祥事の組織的隠蔽（いんぺい）の一因となった可能性がある。 【地図】湖南市の位置は 　不祥事は今年1月中旬に起こった。市環境政策課の20代職員が大気調査で浄苑を訪れた際、火葬炉の確認窓から遺体をスマートフォンで撮影し、写真を故人の名前とともにLINE（ライン）で知人と共有していた。 　市総合政策部や関係者の説明では、浄苑には火葬炉が4基あり、市は同じ日の同時間帯に火葬された別人が撮影されたと誤認した。生田邦夫市長ら市幹部は5月下旬に撮影されていない故人の遺族に謝罪し、「被害者側との約束」で詳細を公表しなかった。 　市職員の不祥事はその後、県警が調べることになり、市幹部が謝罪したのは別人の遺族だったことが判明。市は、撮影された故人の遺族に改めて謝罪し、公表の許可を得たという。 　今回の市職員の不祥事を巡って市は、5月31日の職員懲戒に関する臨時会見で詳細な理由を発表せず、本紙の情報公開請求に対しても、内規に反した手続きや市条例に根拠のない理由で資料を非公開として隠蔽を図っていた。本紙報道を受けて8月23日に詳細を説明。その理由の一つに「遺族の許可が得られた」としたが、故人を別人と間違えた調査ミスは隠していた疑いがある。 　同部は「故人の取り違えを説明しなかったのは、県警が捜査中のため公表してはいけないと考えた」と釈明した。橋本弘三副市長は「不祥事の公表の経緯については調査を進めている。改めて調査結果を説明する機会を設ける」と話している。