アルゼンチン大統領選の鍵を握っていた謎の日系人=ミレイを陰で操る?謎の「キクチ」
「ハビエル・ミレイの最も暗い顔、キクチ」
さらに《大袈裟に言えば、ルッソはラ・リベルタード・アヴァンツァ(自由進歩党LLA=ミレイが所属する政党)の〝父〟であり、国内の争いを鎮めた人物であり、今後の方向性を定めた人物であると言える。ミレイの選挙での成功を説明するパズルを構成するすべてのピースの中で、この戦略家は初歩的なピースだ。彼の貢献がなければ、生まれたばかりの同政党は最初の挫折で正面衝突していた。その戦略のおかげで、21年に連邦首都で全投票の17%をリバタリアン(自由至上主義)が得ることができた》と書かれている。 LLAは2021年7月にリバタリアン保守主義という方向性で創立され、そこからわずか2年余りで劇的な成長を遂げ、大統領まで輩出することになった。だがその間に路線を巡って仲間割れしてマリオ氏は脱退。 その後に主導権を握ったのが、例の日系人で同記事は《ハビエル・ミレイの最も暗い顔〝黒い修道士〟カルロス・キクチの出番が来た》とかなり意味深な表現をした。要は、選挙や政治に関わる〝黒い闇〟に関係した疑いがあるように同記事には書かれている。というか、合法非合法を問わず選挙運動を強引に推し進める〝汚れ役〟のような存在にも読み取れる。
また、キクチをミレイ陣営に送り込んだのはドミンゴ・フェリペ・カヴァロ氏だとも書かれている。カヴァロ側はそれを否定しており、「キクチはラジオでミレイに会った」としている。キクチはラジオ番組のパーソナリティをしており、そこに経済評論家としてたびたびミレイを呼んでいたという。直接の関係がありながらも、キクチはなぜか昨年から選挙運動にかかわる際、まずミレイの妹との信頼関係を築き上げ、そこから影響力を広げていったとある。ミレイは何か自分に判断できない質問を受けた際、「妹と相談する」と答えることで有名だ。 ちなみに、カヴァッロ(5)はイタリア南部生まれで、親に連れられて1930年にアルゼンチン移住した子ども移民だ。カルロス・メネム政権(1989年7月―99年12月)で経済大臣を務め、アルゼンチン・ペソと米ドルを同等にする経済通貨安定化プランを打ち出したことで知られる。その焼き直しを今回、ミレイにもやらせているようにも見える。