デッドボールでガッツポーズをする選手【山本萩子の6-4-3を待ちわびて】第116回
過去にも記憶に残る魂のプレーがいくつかあったので、それを紹介させていただきたいと思います。 2012年7月7日のソフトバンク-日本ハム戦では、ソフトバンクの明石選手が19球粘って四球で出塁しました。これは当時のプロ野球記録で、その姿に執念を感じたものです。その翌年の8月24日に行なわれたDeNA-巨人戦では、DeNAの鶴岡一成選手が、同じく19球粘っています。この時は山口鉄也投手に軍配が上がって三振。その山口投手の最後のボールも、魂のこもった一球でした。 選手だけでなく、監督も魂のこもったアピールをすることも。 ヤンキースのアーロン・ブーン監督の退場劇は、もはや風物詩になっています。判定に不満があると、すぐにベンチから飛び出すのですが、その瞬間に観客は大盛り上がり。 監督が退場になるとチームがバラバラになることもありますし、制裁金だってあります。それでも、選手を守りたい、チームを鼓舞したいという思いがそこには透けて見えるのです。「俺がいかなきゃ誰がいく」。そんな親分肌と言えばいいのか、それを見た選手はきっと勇気をもらうことでしょう。 どんな選手、監督、コーチも、1試合にかける思いは変わらないはずです。それでも、闘志が前面に出る人を応援したくなるのが人情というもの。これからも試合とファンを盛り上げてくれるプレーや采配を期待したいと思います。 先週末、残念ながら岩田選手は選手登録を抹消されてしまいました。しかし、ここからまた這い上がってくるでしょうし、多くのヤクルトファンがそれを期待しています。いつか一軍で多くの試合に出られる選手になった時、その先に岩田選手が引退したあとでも、2024年の春に気迫のプレーでファンの心に火をつけてくれた記憶が消えることはありまえん。 プロの選手になってくれてありがとう。私たちのために戦ってくれたありがとう。岩田選手を見るたび、そう思うのです。そしていつの日か、「岩田といういい選手がいたね」と振り返ることでしょう。 みなさんの記憶に残る魂のプレーも、ぜひ教えてくださいね。それではまた来週。 構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作