センバツ高校野球 専大松戸は映像参加 開会式 甲子園胸に描き行進 /千葉
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)が19日、開幕した。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開会式には大会初日に試合がある6校のみが参加。6校が入場行進した後、残る26校が事前撮影した行進の映像がスクリーンに流された。専大松戸は、校名を書いたプラカードを持った平田未来さん(3年)を先頭に、石井詠己主将(3年)ら19人が行進する映像が映し出された。 映像が収録されたのは、ベンチ入りできるメンバー(18人)が発表された6日。練習の途中で持丸修一監督が1人ずつ名前を読み上げ、呼ばれた部員が森岡健太郎部長から背番号の書かれたゼッケンを受け取った後、収録が始まった。 平田さんは2020年の秋の県大会、関東大会を通じて内野手として7試合に出場。4打点を挙げるなどチームに貢献、常に大きな声を上げてナインを鼓舞し続け、センバツでの活躍も期待されていた。しかし2月下旬の練習中、右手に打球が当たり、中指を骨折。復帰まで2カ月以上かかる見通しとなり、メンバー入りはならなかった。 センバツ直前での初めての大きなけがに「最初の一週間は野球も見たくなかった」。だがその後、考えを巡らす中で「自分は夏に向けて前を向くべきだと気付いた」といい、その後は練習中も得意の大きな声でチームメートを盛り上げるなど、率先してサポート役に回った。そんな姿に森岡部長が「プラカードは平田に」と持丸監督に提案。持丸監督は二つ返事で承諾した。 「イチ、ニー、イチ、ニー」。最後列の大森駿太朗選手(2年)の声に合わせて、19人は真剣な表情で行進をスタート。持丸監督や小林一也コーチが身ぶり手ぶりで腕の振り方や足の上げ方をアドバイスした。何度か撮り直し、撮影が終わる時には全員が汗だくになっていた。甲子園に8回の出場経験がある持丸監督は初めての映像収録に「甲子園の土を踏まないで、なんか変な感じだな」と笑いながら話した。 「行進に参加できたのはうれしいけど、やはりユニホームを着たかった」。平田さんは複雑な心境を明かしながらも、「千葉県の代表でもあるから、他の学校の思いを背負って全力で取り組んでほしい」とメンバーにエールを送った。【長沼辰哉】