首位休場で優勝候補から脱落した朝乃山「あいつはもうダメだ」白鵬予想的中も来場所期待大の”素質”
大相撲初場所は、千秋楽の1月28日、横綱・照ノ富士が13勝2敗で並んだ関脇・琴ノ若との優勝決定戦を制して、去年の夏場所以来となる4場所ぶり9回目の優勝を果たした。 【大相撲の不祥事】すごい!'20年、コロナ感染拡大中に女性同伴で焼肉会を開いていた九重親方 「照ノ富士は、ひざのケガや腰痛などで3場所続けて休場しており、今場所の結果次第では引退の可能性もある中での優勝。しかも相手は、優勝候補に挙げられていた大関昇進のかかる琴ノ若でした。13日目に対戦した時に寄り切りで圧勝していましたが、優勝決定戦でも琴ノ若には何もさせず、寄り切りで圧倒的な強さを見せました。 琴ノ若の方が6歳も若く万全。技術的にも劣っていません。それなのに、この力の差はやはり経験と格の違いでしょうね。決定戦の場に朝乃山がいたら、また違った展開になっていたでしょうが、来場所以降の楽しみではあります」(スポーツ紙相撲担当記者) 大関復帰を目指す西前頭7枚目の朝乃山は8日目まで7勝1敗で、西前頭17枚目の阿武咲と並んで優勝争いの首位を走っていた。しかし、8日目の玉鷲戦ですくい投げで敗れた際に右足首を負傷し、9日目から休場を余儀なくされた。 実は、初場所5日目に、この休場を予言したような発言が元横綱の白鵬(現宮城野親方)の口から飛び出していた。この日、国技館内では白鵬のトークイベントが行われており、朝乃山のことをこんな風に話していたのだ。 「ずーっと朝乃山と言ってましたから。もう、あいつはアカンと思って(笑)。もうダメだ」 今場所の優勝は難しいといったニュアンスの言葉を口にし、 「朝乃山というのは角界で一番、形を持っているんですね。彼の形というのは角界、関取の中で一番。なのに……ここでは言わない」 と、冗談まじりに話を途中で打ち切っている。 「白鵬はこれまで何度も朝乃山を優勝候補に挙げてきて、その都度裏切られていましたからね。普通に相撲を取れば優勝できるのだから、もっと闘志を表に出して、しっかり精進しろという“愛のムチ”だと思いますよ。『優勝』という言葉を出すと意識して、また途中でガタガタっと崩れるかもしれないので、あえて『ダメだ』と言ったのだと思います。まさか、その4日後にあんなことになろうとは白鵬も思っていなかったでしょう(笑)」(相撲部屋関係者) 新入幕の時から「未来の横綱」と言われ、白鵬も自分のあと「大相撲を引っ張るのは朝乃山」と言葉にしていただけに、忸怩たる思いがあるのも確かだろう。ただ、白鵬ではないが、「もうダメかもしれない」と相撲ファンも感じてしまう要素があることも事実なのだ。 「ケガによる休場は先場所に続き2場所連続です。昨年名古屋場所で左上腕二頭筋部分断裂、九州場所前に左ふくらはぎ肉離れとケガが重なっており、直近1年で3ヵ所目。さすがにケガが多すぎます。ここでしっかり治さないと大関復帰はますます難しくなります」(前出・部屋関係者) ただ、今場所の朝乃山はいつもとは少し違っていたようだ。「右足関節捻挫で、全治2週間を要する見込み」との診断書を提出して9日目から休場していたが、師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)は、 「昨日(8日目)の相撲で足首が入って腫れていた。1日、2日休ませてどうなるか。良くなれば出したい。本人も出たいと思っている」 と再出場に含みを持たせる発言をしていた。そして、12日目に13日目からの再出場を決定。残り3日を2勝1敗で乗り切り、結果9勝3敗3休という好成績を残している。 元相撲協会外部委員で漫画家のやくみつる氏は、朝乃山について、このように話した。 「今場所の朝乃山は闘志がみなぎっていましたね。だから相撲を取れば当然のように強かった。年齢的にも今が一番力が出る時期です。ロートル感は出てないし、組めば照ノ富士の次くらいに強かったでしょう。次の春場所は、おそらく前頭筆頭あたりです。大関になるためには三役に入って、そこから3場所連続二桁勝利が必要です。夏、秋、九州でリーチ。 今年後半には当然、大関最有力の声がかかっているだろうと思います。というか、上位陣にいてこその朝乃山の存在感なので、戻ってこなくてはいけません。ケガのことを言えばキリがありませんが、大関経験もあるわけですから、気持ちの上でもかなり成長したと思いますよ。期待が持てるというところでは、琴ノ若の次に朝乃山だと思います」 来場所は、闘志をむき出しにした朝乃山の勇姿を拝めるだろうか。
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