網戸にしたい夏に頻発「迷子猫」 観察・張り込み捕獲に1カ月も…捜索は心と体の忍耐勝負 ねこから目線。の現場から
飼い主さんに報告し、おうちに猫さんを連れて行きます。車の中では全く鳴きませんでしたが、インターホンから飼い主さんの声が聞こえてきた瞬間から「ニャー! ニャー!」と鳴き出しました。怖かったね、帰りたかったね。
以前、ある県警に問い合わせたところ、1年間に迷子猫の遺失物届は千件ほどあると聞いたことがあります。迷子は決して珍しいことではなく、誰にでも起こり得ます。慌てずに落ち着いて対処することがとっても大切です。
捜索は1日で保護できることもあれば、1カ月の長期戦になることもあり、心と体の忍耐勝負です。なかなか手がかりがつかめないと、自分から外に出たから家が嫌だったんじゃないか、と考えてしまい、捜すのがつらくなってしまう飼い主さんもいます。
もちろん、外に出たきっかけは好奇心や、家の環境が変わったストレスで出てしまった子もいると思います。しかし、やはり外の生活は相当過酷なのか、無事に家に戻れると迷子になる前よりずっと甘えん坊になる子が多いです。だからこそ、諦めずに捜していただきたいと思います。「ねこから目線。」では、適切に捜索手順を踏むこと、飼い主さんの心が折れないようにサポートすることを心がけています。
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大阪を拠点に、猫にメリットがあると思えることなら何でもお手伝いする「猫の便利屋さん」を営む小池英梨子さん。ネコの目線で取り組む活動から見えるあれこれを、月1回つづってもらいます。
■小池英梨子
立命館大学大学院応用人間科学研究科対人援助学領域修了。「ねこから目線株式会社」(大阪市)代表、「人もねこも一緒に支援プロジェクト」(NPO法人)代表。平成16年から猫の保護譲渡やTNR活動をスタート。大学院でノラ猫をテーマに「共生と共存社会のリアリティ」について研究し、29年に猫の多頭飼育崩壊など、ヒトの福祉と猫問題への並行支援が必要なケースに対応するため「人もねこも一緒に支援プロジェクト」を立ち上げる。30年に保護猫・ノラ猫専門のお手伝い屋さん「ねこから目線。」を設立。京都、福岡、沖縄にも拠点を置き、ライスワークもライフワークも猫にまみれている。