ストックピッカーが覆すウォール街の常識、少数の厳選銘柄に全賭け
(ブルームバーグ): 米株式市場で勝負するアクティブ運用のファンドマネジャーにとって、現在は厳しい時代だ。ごく少数の大型ハイテク銘柄がけん引する形で主要株価指数が高値更新を続ける中、指数連動型のパッシブファンドは多額の資金を引き寄せて大きな利益をあげている。
こうした状況を受け、一部のストックピッカーは高リスク戦略に転換しつつある。高いリターンを見込んで投資対象の企業をこれまで以上に絞り込んでいるのだ。分散投資を中心にするウォール街の常識を覆すものとなる。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)の上場投資信託(ETF)アナリスト、アタナシオス・プサロファギス氏がまとめたデータによると、50銘柄未満で運用を開始したETFの数は2010年代には年平均で約19本だったが、昨年は88本に上った。新規設定の株式ETF全体に目を向けると、保有する銘柄数は今年に入って平均約136銘柄と、2010年以来の少なさだという。
少数の厳選された株式に資金を惜しみなく投入することで、ごく限られた超大型銘柄の動きに左右される市場全体よりも良好なパフォーマンスを目指すという考えが背景にある。
その戦略はギャンブルでもある。ポートフォリオを縮小することでベンチマークに勝つ確率を高めることはできるが、選択を誤った場合の打撃も大きくなるからだ。ただ、1990年代初期から集中型ファンドの運用に携わってきたナンシー・テングラー氏は、それは取るに値するリスクだと語る。
ラッファー・テングラー・インベストメンツの最高投資責任者(CIO)を務める同氏は「ポートフォリオを過剰に分散させることでトータルリターンを減らすというのは、ポートフォリオマネジャーがやりがちなことで、経験の浅い運用者の場合は特にそうだ」と語った。
「最高の12銘柄」のみを保有するという同社の集中型株式戦略ポートフォリオは昨年、手数料を除いたベースで39%のリターンを記録した。ただ前年は25%のマイナスで、2019年後半より後では年平均で約13%のプラス。同じ期間のダウ工業株30種平均のリターンは約11%だ。