商店街に黄色い点字ブロックを…79歳全盲男性と商店会 双方の譲歩の先に見えた道【岡山・岡山市】
岡山放送
岡山が世界発祥の地点字ブロック。岡山市に住む全盲の男性が、市内の商店街に、点字ブロックを付けてほしいと要望を続けています。しかし、その実現は簡単なことではありません。 (竹内昌彦さん 24年3月16日) 「57年前、何もなかった道に三宅精一さんが点字ブロックを考案して、世界で最初に、この場所に点字ブロックを敷設してくださった」 岡山盲学校の元教頭で全盲の竹内昌彦さん(79)。岡山で生まれた点字ブロックを知ってほしいと記念碑を建てました。1967年、点字ブロックの渡り初めが行われた3月18日を「点字ブロックの日」に定め、啓発活動を行っている他、アジアの目の不自由な子供たちの手術費用を支援するなど79歳になった今も精力的に活動しています。 竹内さんが、とりわけ力を入れているのが点字ブロックの普及です。岡山市中心部の表町商店街に点字ブロックを付けてほしいと約3年前から要望してきました。 視覚障害者にとっては、アーケードがあって雨が降っても傘をささずに白い杖が使えることや、それぞれの店で丁寧な説明を受けながら買い物ができるなど人気の場所なのだといいます。 (2022年社会実験にて 竹内昌彦さん) 「目が見えなくても街に出て買い物に行こうというのはものすごい勇気、それでも生きていく、楽しもうと頑張って出てきている人たちの心をくじかないでほしい」 商店街の組合や岡山市と話し合いを重ね社会実験も実施、岡山市が予算措置を行いましたが、8つの組合からなる商店街のうち、2024年度、設置に賛同したのは中之町商店会の1カ所だけでした。設置に賛同できない理由の一つは、点字ブロックの黄色だというのです。 (竹内昌彦さん) 「黄色で全国統一されとるし、よっぽど困らなければ、商店街に付いたが、なんとそれは黄色ではなかったと言われると思う。よっぽど黄色困るんですかね」 (岡山市道路計画課 深井真介前課長) 「視覚障害者誘導(用)ブロック(点字ブロック)の色は黄色、その他の周囲の路面との輝度比が大きいことなどにより、当該ブロック部分を容易に識別できる色とする、なので、黄色がマストではないんです。マストではないんだけれども…」 商店街の調整役を担う中之町商店会の理事長のもとには、景観を損ねるのではないか、ワゴンセールなどの催しに影響するのではないかなど、様々な意見が寄せられていると言います。 (竹内昌彦さん) 「黄色ってやっぱり評判悪いんですか、自分で見えないから」 (中之町商店会 片山進平理事長) 「今回は(点字ブロックを)付けることが第一目標として、個人的にはいたので、歩み寄りがないと、私の所には強めの意見がくるので」 (竹内昌彦さん) 「黄色は困るっていう意見が?」 (片山進平理事長) 「あります」 結論は出ませんでした。後日、視力がわずかに残る弱視の人に、現地で意見を聞くことになりました。 弱視の人にとって、黄色は見えやすい色と言われています。グレーなど他の色の点字ブロックでは認識しづらい人もいるのです。 (弱視の藤田千代美さん) 「黄色だったら弱視の人でも分かりやすい、私は最初(グレーの点字ブロックを)溝と思って飛び越えたことがある、そしたら垣根にぶつかった」 岡山市が発注した点字ブロックの色見本が出来上がりました。この日、弱視の人たちが見え方を確認します。 (弱視の人は…) 「黄色が一番分かりやすい」 「1番と3番目がはっきり分かる」 「一番見えやすいか?そりゃあ見えやすいのは黄色かもしれん、見えにくいのは奥から2つ目」 例えば、白内障では、クリアファイル越しで見るようなこんな見え方になると言います。 (岡山市の担当者) 「ここに点字ブロックがあるのは分かりますか?」 (弱視の人は…) 「黄色が点字ブロックというのが分かりますが、アーケードという特性もあるから黄色にこだわる必要はないのかもしれないが、できれば黄色がいい」 一番は黄色、そして、明るいベージュも見えやすいという結果でした。商店街は、この結果をもとに、設置する点字ブロックの色を決めることにしています。 (中之町商店会 片山進平理事長) 「その感覚は私たちには分からないので、できるだけ希望に沿いたい。にぎわいを損なわない形で、設置するための調整役として、私がやらなければ」 (竹内昌彦さん) 「僕は全盲だから何色でもいい、今、弱視の人が多い。その人たちが見慣れた色にしてあげてほしい。困っている人がいたら助けてあげてほしい」 順調にいけば、2024年度中には、約1キロにわたる表町商店街のうち、中之町の約150メートルに点字ブロックが設置される予定です。 仲間たちが商店街のどの場所でも安心して歩けるように、竹内さんの活動は続きます。
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