中日・落合GMの多村獲得は世代交代の方針に逆行していないか?
中日が横浜DeNAを戦力外になっていた多村仁志外野手(38)と推定年俸300万円で、育成選手契約を結んだが、世代交代を進めていたはずのチーム方針の“ぶれ具合”に賛否の声が挙がっている。 多村の獲得を決めたのは、落合博満GM。2001年に落合GMが、“盟友”森監督のリクエストで、横浜の臨時コーチを務め、多村を徹底指導したことがきっかけで、両者には師弟関係が生まれていた。多村がFA権を得た際に中日が獲得を検討した経緯もあったが、今回、横浜DeNAを戦力外となり、現役続行を希望したものの、どこからも声のかからなかった多村を落合GMが救済した形だ。 2007年にも同じように宙に浮いていた中村紀洋を落合監督がキャンプ中に育成契約で拾いあげ、日本シリーズでMVPを獲得するほどの大戦力となった感動の復活ドラマの再現を狙ったものだろうが、今オフは落合GMが先頭になって世代交代を進めていたというチーム方針があった。 多村と同じく右の外野手である和田一浩(43)に事実上の戦力外を突きつけ引退に導き、左の代打、小笠原道大(42)も、事実上の戦力外でユニホームを脱ぎ、2軍監督に就任した。 レジェンド、山本昌が、「チームの方向は、世代交代に進んでいると感じた。自分がいることは邪魔になる」と、引退を決意した理由のひとつに、チームの世代交代を挙げていたが、そういう流れを推し進めた張本人の落合GMが、自ら方針と逆行する補強に動いたのだから賛否の声が起きるのも無理はなかった。 ある球界関係者も、「和田と小笠原、山本昌まで切っておいて多村の獲得は、例え育成でもえ?となる。自分が可愛がってきた選手だからなのか」と、今回の中日の補強の動きに疑問を呈していた。 和田は、昨季79試合で、打率.298、5本、26打点。小笠原はほとんど代打で、53試合、打率.294、0本、8打点。一方の多村は、1軍出場は、わずか4試合。ファームでは打率.319、7本塁打の数字を残しているが、どちらが戦力として計算が立つかと言えば、和田だろう。