斎藤元彦知事インタビュー 「若者支援で定住・定着」「高校環境改善に予算」【2024兵庫県知事選】/兵庫
兵庫県知事選を制し、再び知事に返り咲いた斎藤元彦氏。報道陣のインタビューに応じ、選挙戦の振り返りや新たな県政への抱負を語った。丹波新聞社の取材にも応じ、人口減や県立高校の統廃合、地域医療など各種課題への思いを聞いた。 ―返り咲いた。 失職してからここまで来るとは予想できず、本当に感無量。皆さんに心からお礼申し上げたい。最初はJR須磨駅に1人で立ち、一日一日、活動を続ける中で支援や応援の輪が広がっていったと感じている。各地で県民の皆さんと話をする中、文書問題の対応への指摘もあったが、「良い政策をしてほしい」「政策をしっかり進めてほしい」という声が多かった。一票一票の重みをしっかり受け止め、謙虚に頑張っていきたい。 ―まず何に取り組む。 来年度予算の編成作業。本来なら佳境の時期。しっかり職員と議論して準備していきたい。また、大きな施策として若い世代への支援や阪神淡路大震災30年、大阪・関西万博のフィールドパビリオンなどの観光施策もしっかり作りたい。 ―丹波地域からも多くの得票を得た。人口減が進む農村地域の対策は。 若者支援をしっかりやっていくことが重要だ。丹波をはじめ、但馬など北部の地域社会を支える若い世代の定住・定着に結び付けていくことにつながる。今回の投票分析でも若い世代の投票率が上がり、私への投票が多かったと聞いている。若い世代への施策をしっかりやることが彼らの政治、社会への参画になる。 ―丹波地域では県立高校の統廃合、地域医療の課題に直面している。 高校は発展的統合を進めているため、これから県教委と連携しながら取り組むことになる。ただ、地域の中には高校を地域に残してほしいという思いを持つ人も多い。丁寧に議論しながらやっていきたい。地域医療は県の医療センターがある所はそこが中核になるため、公立病院に対しての県の補助や施設整備を進めていく。地域医療の充実はこれからも取り組んでいきたい。 ―丹波篠山での演説時、行革で浮いた費用で高校を新築することもできると話していた。 県庁舎建て替えの経費節減で未来の子どもたちの投資に使っていくということで、提示した一つのアイデア。実際どうできるかはこれからの議論になる。ただ、高校の環境改善は、今回の選挙戦でもトイレがきれいになったことなどを喜ばれ、涙を流す生徒もおられるなど、すごくたくさんの高校生から反応が強かった。これは今までが良くなさ過ぎたことの裏返しでもある。これから県立高校の環境整備は予算を増やしていきたい。 ―県議会、市町の首長との関係は今後どうする。 (不信任決議を可決した)議会は流れの中での全会一致だったと思うが、一部を除いて多くの県議は私の取り組みに共感していただいている。良い政策をするという共通の思いの中でコミュニケーションをとっていけば大丈夫だと思う。市町の首長との関係はもちろん大事。各地でいろんな課題があるが、これまでもしっかり共有して信頼関係を構築してきた。感謝と謙虚な気持ちを持ち、民意をかなえるためにワンチームで一緒にやっていきたい。 ―県職員とは。 こちらも関係をもう一度しっかり構築する。ただ、今回、文書問題も一つの争点だったが、公約や政策、私の実績への関心が高かったと思う。大事なことは良い政策をどう進めるかで、それは職員も同じ思いを持っている。議論しながら、しっかりコミュニケーションを取るし、特に若手とのミーティングは早い段階で実現したい。 ―稲村氏にも多くの票が入った。 稲村さんをはじめ、他の候補者と論戦を交わしたことは、意義深く、ありがたい機会で、敬意を表したい。だが、選挙は一番得票が多かった人が当選するもの。そして私に投票した人もしなかった人も同じ県民。しっかりと全体に県政を届けていくことは当然だ。県全体で良い方向に向けていくことが知事の大きな役割だと思う。 ―今回、メディアの批判が広がった。 県民が新聞やテレビ以外にもネットなどで調べられることが多かったと思う。私はどちらに真実があるとは言っておらず、県民がいろんなメディアを見て判断されるため、メディアリテラシーが問われた選挙だった。私自身はメディアの皆さんは県政を発信して頂ける大切な存在で、これからも一緒にやっていきたいと思っている。 ―SNSが大きな役割を果たしたと話した。 今回一つの大きなポイント。自分たちの発信だけでなく、草の根的にいろんな人が私の政策を整理して発信・拡散してくださった。また、街頭活動の告知でもSNSの情報伝達の利便性を重要だと感じた。一方で街頭活動もしっかりして一人ひとりの県民と言葉を交わすことも大事にしていたので、両方やることが斎藤流だった。 ―一方でSNS上では争いも起きた。 誹謗中傷が飛び交ったと聞くが、私は選挙に専念していたため、詳細は把握していない。確かにSNSは良い面もあるが、言葉が強くなることもある。ただSNSも民意。これからいろんなバランスが働いていくと思う。