トランプ氏復活で浮かび上がる、メディアの信用にまつわる深刻な疑問
メディアを待ち受けるもの
過去の事例が何らかの指針になるとすれば、トランプ氏がニュース報道に満足することは絶対にない。同氏が求めるのはより融通の利く、プロパガンダ向きのメディアであり、圧倒的に自身を支持するFOXニュースに対してさえ日頃から不平を漏らしている。先月、トランプ氏はFOXに君臨するメディア王ルパート・マードック氏に向け、同局が民主党の選挙広告を放送していると苦情を述べていた。 従って、トランプ氏の再選が予見するのは、主要メディアとの新たな敵対の時代に他ならない。公平な報道に努めるメディアのみならず、党派的なメディアであっても同氏に異議を唱えれば敵とみなされるだろう。ここからさらに一連の疑問がわき起こる。 トランプ政権は、メディアに否定的な同氏の発言を実際の行動に移すのか? 今年に入って何度となく示唆している通り、テレビ局の放送免許を剥奪(はくだつ)する措置に踏み切るのか? ホワイトハウスへのメディアのアクセスを制限し、気に入らない記者は出入り禁止とするのか? もっと言えば、やがてはメディアも自己検閲に走り、トランプ氏に譲歩することになるのか? その場合、トランプ氏に反対する読者や視聴者はどう反応するだろうか? 6日午前、メディアの幹部やオーナーたちは社員らを安心させるべく、自分たちが後ろ盾となって今後の不透明な月日に備える意向を表明している。「今やかつてないほど、我々の意志は強固なものとなっている。自分たちの使命として、独立したジャーナリズムという原則を守っていく」。コンデナストを率いるロジャー・リンチ氏はスタッフ向けのメモにそう記した。「合衆国憲法で保護されているように、独立したメディアが活況を呈することは民主主義と我々全員の共有する未来にとって極めて重要だ」 ◇ 本稿はCNNのブライアン・ステルター記者の分析記事です。