日曜日に強い阪神のなぜ?
先発がゲームを作り、安定感のある桑原、高橋、マテオ、ドリスの勝利の方程式が機能して、粘り勝ちしているのが特徴で、今季の阪神の強さを象徴するようなゲームが日曜に展開されているわけである。 金本監督が言う「勝ち方を確立していきたい」という理想のゲームは6連勝の日曜に見られるのだ。 日曜と同じく6勝1敗の結果が残っている金曜日は、先発はすべて“エース”のメッセンジャーで無傷の5連勝。しかも、金曜のチーム打率は.300、6本塁打と、メッセと打線がうまく噛み合っている。この圧倒的なゲーム運びもまたシーズンを通じて計算の立つ“勝ち方”だろう。そして、金曜と日曜という負けない曜日のポイントが作れていることで今季は大型連敗がないのである。開幕直後の3連敗と連敗が一度だけだ。 元千葉ロッテの評論家、里崎智也氏も、「今の阪神の強さは決してまぐれではなく、根拠のあるものだと見ています。キャッチャー目線から見ても、糸井、福留、鳥谷というベテランの3人は、間が取れていて、タイミングがいいので打ちそうな雰囲気があります。打線に粘りがある理由は、ボールに手を出す打席が減っていることでしょう。四球を選び打線がつながるし逆に甘い球をしっかりと仕留めるケースが目につきます。また桑原、マテオ、ドリスという勝ちパターンが安定している部分も評価できます」と、阪神の強さが決して勢いだけでないと見ている。ただ「他に不安要素も多いです」とも指摘する。 「守りにミスが多いことと、確実に走者を進める、確実に走者を返すという、相手ベンチから見て嫌なことができていません。糸井が走るべきところで走れていない部分も見逃してはいけないでしょう。今後、勝負どころでの接戦で影響が出てくるかもしれません。 また先発には藤浪も含めて不安がありますし、今チームを引っ張っているベテランにケガでも出たときに、バックアップメンバーとの戦力差が大きいように思えます。万が一に備えておくべきでしょう」 確かにこの日のゲームでも9回に福留のタイムリーで1点を勝ち越して、さらに無死一、三塁で原口がショートの左へ詰まったバウンドのゴロを打ったが、三塁走者の糸井は、判断を誤りホームを突かなかった。バックホーム体制だったが、打球の飛んだ方向と質からすれば、「ゴロゴー」のスタートを切っていればセーフだった。おそらく、この辺りのチームが抱える細かい問題を理解しているからこそ金本監督は「気を抜くな、奢るな」と言い続けるのだろう。セ・リーグの不利が予想される交流戦までの12試合で、負けない金曜と日曜の試合は4試合。ここをポイントに貯金を重ねればペナントの序盤戦を支配できる。