日本政府、態度軟化の中国との対話歓迎も軍動向は引き続き警戒 日中防衛相会談
今年6月以来となる21日の日中防衛相会談は、15日にペルーで行われた石破茂首相と中国の習近平国家主席の日中首脳会談から間を置かずに開かれた。両首脳は日中が「あらゆるレベルで意思疎通をより一層強化」と確認しており、防衛相会談もその一環となる。 一連の会談と前後して中国政府は、8月26日に中国軍機が日本領空を初めて侵犯した問題について、日本領空に入った事実を認め、再発防止に努めると説明した。明確な謝罪はなかったものの、日本政府は「中国側も本来あってはならないことであったと受け止めている」(外務省担当者)とみなしている。 従来は中国側の意向で設定が難航しがちだった首脳会談が「今回はスムーズに決まった」(外務省幹部)ことや、9月に東京電力福島第1原発の処理水海洋放出後に中国が全面的に停止した日本産水産物の輸入再開で合意したことを含め、中国側に態度の軟化が見られるようになった。 日本政府は中国側とハイレベルの対話が続いていること自体は歓迎しつつも、中国側の思惑や意図を慎重に分析し、日本周辺での中国軍の動向については引き続き厳重に警戒する考えだ。 政府には覇権主義的な動きを強める中国に対応するため、同盟国・同志国とのさらなる連携強化も求められる。中谷元・防衛相は22日、日中防衛相会談が行われたラオスで、南シナ海で中国と対峙するフィリピンやインドの国防相と会談する。中谷氏は会談で力による一方的な現状変更に反対する考えを改めて共有したい考えだ。(原川貴郎)