本当はおかしい日本の部活動? 海外から異常だと思われている、負けたら終わりのトーナメント試合の多さ、応援に専念するだけの部員たちの姿
応援に専念する部員たち
海外から見た「日本の部活動」のもう1つの異常性は、応援に専念する部員たちの存在です。そもそも、学校に部活動というものがなく、学外のクラブチームなどに所属してスポーツをする国もあるため、感覚が異なるのは当然の部分もあれど、それにしても「(試合に出られないのに)応援に専念する」部員は、異様に見られることが多いといいます。 野球やサッカーの強豪校では、部員が200人、300人といった規模になりますが、試合に出られるのは10名前後、ベンチに入れるのは20名強です。それ以外の大多数の部員は、応援席で、プレーする仲間を鼓舞するために応援に専念します。 共に練習に励み、切磋琢磨してきた仲間のために、自分はプレーできなくても応援する。その献身性や仲間意識は、美徳として広まっているといえるでしょう。しかし、それは日本の当たり前ではあっても、文化の異なる海外から見ると異常に見えるということです。 「選手ではなく、サポーター(応援団)か?」「なんで自分がプレーできなくて悔しいのに、応援しているんだ?」と純粋な疑問を持たれるそうです。海外では、応援することは素晴らしいが、それでも、「我慢して応援すること」が、「自分でプレーすること」を超えることはないのが当たり前だからです。
自分が活躍できる環境を選んでいい
もし試合に出られないなら、1つレベルを下げて、現在の自分がプレーできるレベルを選んで、そこで活躍する。今よりも上のレベルを目指してチャレンジをしつつも、自分が試合に出てプレーすることを楽しみ、1番大切にする。こうした感覚を持つことが、海外の当たり前になっているのです。 「絶対に負けちゃダメだから」と負けないように頑張ったり、「試合に出られなくても、応援しなきゃダメだから」と我慢したりすることは、本当は、不変的な「ただ1つの正解」の感覚ではないわけです。誰もが受け入れて当たり前の感覚ではないことを、ぜひ知っておきましょう。 ――― ※2 DAZN NEWS「「人に指導することは難しい」。日本から若くて優秀な指導者が出てくるためには | 内田篤人のFOOTBALL TIME」、livedoor NEWS「「ドイツにサッカー部は存在しない」 日本との育成環境の違いが興味深い」を参照。 文/永井竜之介 写真/shutterstock ---------- 永井竜之介(ながいりゅうのすけ) 高千穂大学商学部准教授 1986年生まれ。専門はマーケティング戦略、消費者行動、イノベーション。産学官連携活動、企業団体支援、企業との共同研究および企業研修などのマーケティングとイノベーションに関わる幅広い活動に従事。主な著書に『マーケティングの鬼100則』(ASUKA BUSINESS)、『嫉妬を今すぐ行動力に変える科学的トレーニング』(秀和システム)、『リープ・マーケティング 中国ベンチャーに学ぶ新時代の「広め方」』(イースト・プレス)などがある。 ----------