広陵のエース・高尾響 ホップする直球で淡々と8回無失点 センバツ
◇センバツ第3日(20日)2回戦 ○広陵(広島)5―0二松学舎大付(東京)● 淡々とアウトを積み重ねる姿に、2年生とは思えない風格が漂う。難敵を退けた会心の勝利の中心に、広陵に入学2カ月で背番号「1」をつけた逸材右腕・高尾響がいた。 【広陵vs二松学舎大付を写真で】 序盤は球がバラついたが、球威は十分だった。初めて得点圏に走者を背負った1点リードの二回。2死二、三塁の場面で持ち味の直球が走った。二松学舎大付の8番・重川創思に対し、1ボールから130キロ台後半の直球を3球続けた。本人は3球とも「高めに浮いた」と反省するが、すべて空振り。捕手の只石貫太が「手元で垂れずにホップするのが強み」と絶賛する球でピンチを脱した。 五回に味方が3点を追加すると、「雰囲気に慣れてきた」と勢いは加速する。六回には対外試合で自己最速となる146キロをマークした。右打者の懐を厳しく突き、外へ逃げるスライダーの切れ味も鋭かった。8回を被安打5で無失点。「完封したかったが、チームに良い流れを持ってこようと思っていたので、それが実行できた」と113球を振り返った。 甲子園で春優勝2回、夏準優勝2回の中井哲之監督から入学2カ月で背番号「1」を託された。数々の好投手を輩出した名門で「最速」でエースの称号を得た。 最大の武器はマウンド度胸。ピンチでも動じず、要所をしのいでも感情を表に出さない。本人は「淡々と投げるのが自分の投球。そういう性格です」と笑うが、自身初の甲子園での登板も「緊張しなかった」と言ってのける。持てる力を存分に発揮した。 「80点です」。快投にも満足しないのは、もっと高い所を見ているから。チームは「広陵のボンズ」こと長距離砲の真鍋慧(けいた)に注目が集まりがちだが、投の主役からも目が離せない。【長宗拓弥】