小林製薬・紅麴サプリ問題 原因物質はプベルル酸か「カビ由来、否定できない」5人死亡、114人入院
小林製薬(本社・大阪市中央区)の「 紅麹(べにこうじ)」成分入りのサプリメントを摂取した人に健康被害が確認された問題で、 29日、新たに1人が亡くなっていたことがわかった。 【画像】小林章浩社長 会見の様子と「紅麴コレステヘルプ」 一連の問題で、紅麴成分入りサプリメントの摂取が疑われる死亡者は計5人となった。5人は70代~90代の男女。入院した人は、のべ114人。 同社によると、健康被害の報告があったのは、2021年から販売している機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」。2024年2月末までに累計で約106万袋を販売したという。 同社は29日午後、問題公表後2度目となる会見を大阪市内で開き、小林章浩社長が「紅麹を摂取することによる腎疾患の発生問題で多くのみなさまにご心痛、ご不安を与え、社会問題にまで発展していることを深くおわび申し上げる」と謝罪した。 同社は2023年1月に問題を把握していたが、発表は2か月後の3月22日になった。この点について、小林社長は「厳しい批判や指摘をいただいている。真摯に受け止め、反省している」と述べた。 また、亡くなった3人の遺族とは連絡を取り、入院している114人、通院あるいは通院予定の約680人に対して治療費など金銭的な補償をする旨を伝えているという。 被害を及ぼしたとされる物質は、現時点でも判明していない。同社はこの物質を「未知の成分」と表現している。 この日、成分が何であるか、摂取した個人のアレルギー、異物混入などさまざまな理由を考慮したうえで、公表が3月22日になったと釈明した。 ■「プベルル酸」が含まれていた これが“未知の物質”か? ヘルスケア事業部の梶田恵介・食品カテゴリー長は 、 「成分の構造などは(問題公表後)1週間でみえてきたが、カビから生成された可能性は否定できない」と説明した。 今後、未知の成分の解明に向け、小林製薬が厚生労働省にデータを提供して分析を進めるという。 ところが、この日午後4時ごろ、厚生労働省が「プベルル酸」という物質が当該のサプリメントに意図せずに含まれていたと明らかにした。特定のロットにこの物質が入っていたという。青カビから生成される天然化合物で、抗生物質の特性を持ち、毒性が非常に高いという。 大阪で開かれた小林製薬の会見は午後2時に始まったが、「プベルル酸」については一切語られることはなかった。小林製薬側は、公表から1週間が経過した29日の段階でも健康被害との因果関係は判明していないと話すにとどまった。 そして「隠ぺいする意図があったのではないか」との問いに、明確に否定した。 小林社長は、「原因を究明して再発防止を取っていくことが、私も含めた全員の責任だ。まずはそれをしっかりと進めていきたい」と述べ、事態の収拾に努める意思を強調した。
ラジオ関西