40代からの気になる「お尻のたるみ」… 原因となる行動を専門家が解説
空前の美尻トレーニングブームの傍で、たるんだお尻に悩む人はまだまだ多い。加齢や運動不足、姿勢不良など考えられる原因は様々あるものの、その一つ一つがたった数日の筋トレやランニングで容易に解決できる問題ではないという。 【動画】お尻のたるみを改善する効果的なトレーニング方法 今回は、40代からのお尻のたるみの原因をパーソナルトレーナーの林健太さんが徹底解説。 ▼林健太/NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー
お尻のたるみの原因とは
原因1:年齢による筋力の低下 ヒトの骨格筋量は加齢とともにゆっくりと減少し始め、20歳代から比べると40歳頃までに約10%、70歳頃までには約30%低下するとされている。 この骨格筋量の減少は「サルコペニア」と呼ばれ、一次性のサルコペニア(加齢性サルコペニア)と、不活動や様々な疾患、栄養状態が原因で起こる、二次性サルコペニアに分類され、40代はそのどちらの影響も受けやすい年齢と考えられる。 骨格筋量の低下は歩行速度や歩幅の低下にも繋がるため、日常生活でも臀筋群が受ける影響は大きい。 40代からのお尻のたるみを改善するためにも、まずは筋肉量をアップさせる筋トレが最優先。また、これから40代に向けてお尻のたるみを未然に防ぎたいという人は、若い頃から筋力維持のための筋トレ習慣を絶やさないようにしよう。 原因2:運動不足と生活習慣 令和4年の国民健康・栄養調査によると、運動習慣のある人の割合の中でも20~29歳が最も少なく、次いで30~39歳という結果になっている。 日本のガイドラインでは、一次性サルコペニアは65歳以上を対象としているものの、二次性サルコペニアには特に年齢の規定がないため、お尻をたるませないためには、若い頃から筋トレの習慣を身につけておくことが最善策。 もちろん筋トレは何歳からでも始めることが大切なので、40代だからといって何も筋トレをしないのはお尻のたるみを促進させてしまう。 筋トレ不足は大臀筋の筋力の低下を加速させることはもちろん、高血圧や糖尿病、脂質異常症など、様々な疾患のリスクも高くなる。 病気になれば安静にして寝て過ごすことも多くなり、結果的にお尻の筋肉を使う機会が減り、筋肉が痩せ衰える、廃用性萎縮を招く原因にもなる。 原因:姿勢の悪さとストレスの影響 スマートフォンの使用が多い現代の生活では、知らず知らずのうちに日常生活での姿勢も悪くなっていることが多い。 特に電車や信号待ちの立った姿勢での操作は、片足に重心が偏る結果、骨盤の歪みを生じてお尻だけでなく足関節や膝関節、股関節にも悪影響を及ぼす。 また、姿勢不良の典型とも言える歩きスマホでは、スマホを持つことでの上肢の運動制限や、バランス力の低下により歩行速度や歩幅が低下する。そのため、大臀筋の働きも弱くなり、結果としてお尻のたるみにも繋がってしまう。 使われにくくなった大臀筋にストレスがかかることで過緊張状態になり、より姿勢が崩れたり、柔軟性が失われたりして、たるみを促進してしまう。 原因4:長時間椅子に座ることのリスク スマートフォンと並んで使用頻度の多いパソコンは、座り続けることを促進してしまう。平成25年の国民健康・栄養調査によると、平日1日の総座位時間は、8時間以上と回答した男性は38%、女性は33%もいることが明らかになっており、世界一長いとされている。 座り続けることが日常化してしまうと、お尻の筋力低下や姿勢の悪化はもちろん、血流の悪化や浮腫み、基礎代謝の低下など様々なデメリットを引き起こす。 また近年では、座りっぱなしによる死亡リスクの上昇に加え、乳がんリスクの上昇も指摘されている。お尻のたるみを改善するだけではなく、健康を維持するためにも、休日にまとめて筋トレをするよりも、普段から座位時間を短縮し、こまめに運動を取り入れることが効果的。 デスクワークの際は飲み物を近くに置かず立ち上がって飲みにいく、隙間時間にストレッチや軽い筋トレをするなど、日々の小さな心がけで健康的なヒップラインを維持することに繋がる。