コンスコンは「本当に無能」だったのか? ガンダム史に残る「伝説の大敗」を考察
3分もたたないうちに12機のMSが全滅!?
1979年に放送開始となったTVアニメ『機動戦士ガンダム』は、2024年で放送45周年を迎えます。昭和に生まれた「初代ガンダム」は、令和になった現在も多くのファンから愛され続けています。 【画像】ジオン兵を震え上がらせた? 第13独立部隊、脅威のパフォーマンス(5枚) 作品の魅力のひとつに挙げられるのが、多彩なキャラクターの存在です。主人公「アムロ・レイ」が所属した地球連邦軍だけでなく、彼らにとって敵陣営にあたるジオン公国軍にも、「シャア・アズナブル」をはじめ、魅力的なキャラクターが多数いました。 しかし、なかには派手な負けっぷりのせいで、一部ファンから「無能者」呼ばわりされてしまった指揮官もいます。その不名誉な扱いを受けた代表格が、ジオン公国軍の「コンスコン少将」です。 コンスコンは自身が指揮する艦隊に甚大な被害を出した挙げ句、大した戦果を挙げられませんでしたが、本当に「無能」だったのでしょうか。 伝説となったコンスコン機動艦隊の大敗は、TVアニメの第33話「コンスコン強襲」のなかで描かれています。傷ついた「ホワイトベース」に対して12機のモビルスーツ(MS)「リック・ドム」を差し向けながら、3分たたずに全滅する場面は、いろんな意味で衝撃でした。この敗因がコンスコンの「無能さ」にあったのかを、あらためて考察します。 ●先手をとることに成功したワケ コンスコンの機動艦隊は、彼の上司である宇宙攻撃軍司令「ドズル・ザビ」から「ホワイトベース討伐」を命じられて出撃します。チベ級重巡洋艦を旗艦にムサイ級2隻をしたがえ、リック・ドム12機を擁する艦隊でした。 傷ついたホワイトベースは、中立のスペースコロニー群「サイド6」にあるパルダ・ベイに入港します。コンスコンはその周辺にリック・ドムを潜伏させ、情報収集にあたらせていました。このコンスコンの指示が功を奏し、ホワイトベースの動きをいち早くキャッチすることに成功します。 サイド6を出たホワイトベースの位置を特定し、先手をとることができたのは、このコンスコンの策がハマったおかげでした。 ●戦闘描写から見えてくるもの 浮きドックへと修理に向かうホワイトベースに、コンスコンは12機のリック・ドムを差し向けます。一方、後手に回ったホワイトベース隊が出した戦力は「ガンダム」「ガンキャノン」、2機の「Gファイター」の計4機でした。コンスコンは3倍の数の戦力を惜しみなく投入したことから、ホワイトベース隊を決して侮っていなかったことが分かります。 しかもアニメの映像では、リック・ドムの編隊は互いに交差するような動きでホワイトベース隊を撹乱しようとしており、練度の高さがうかがえます。それに次々と僚機が撃墜されても怯むことなく、戦場から逃げようとしませんでした。 それでも、たった3分で12機が全滅したのは、相手が悪かったとしか言いようがありません。とくにアムロはこの戦いで9機のリック・ドムを撃墜しており、まさに鬼神のごとき活躍ぶりでした。 リック・ドムは、「ザクII」の性能を上回る新型MSでしたが、どちらかというと対艦攻撃を得意とします。「これがゲルググであれば……」とも思いますが、ニュータイプとして覚醒しつつあったアムロが相手では、おそらく高性能を謳われる「ゲルググ」だとしても厳しかったでしょう。