ゲームは「絶対に裏切らない親友」 RaMuが語る“楽しい”を仕事にする魅力と苦悩
ゲーム好きの著名人・文化人にインタビューし、ゲーム遍歴や、ゲームから受けた影響などを聞く連載“あの人のゲームヒストリー”。今回話を聞いたのは、タレント兼YouTuberのRaMuだ。 【写真】ゲーム愛を語ったRaMuの別カット RaMuは2024年3月17日に開催された加藤純一 presents『第二回 配信者ハイパーゲーム大会』に出場し、『ストリートファイター6』の1回戦で勝利。「TEAM もこう」として優勝を収め、涙を流した姿も記憶に新しい。 ゲーマーとしての実力を持ちつつ、タレント業やYouTuber、グラビア活動など多方面で活躍しているRaMu。そんなマルチな活躍スタイルだからこそ、過去には自身の活動に思い悩んだ時期もあったと語る。 今回は、ゲームとの出会いや接し方、大会にかけた想いからタレント業の歩みまで、活動のすべてを赤裸々に語ってもらった。 ■始まりはバカにされた“悔しさ”から ーーまずはRaMuさんがゲームと出会ったきっかけについて教えてください。 RaMu:初めてプレイしたゲームは、『ポケットモンスター ルビー・サファイア』です。みんな遊んでいたし、当時は通信用ケーブルを持っている人がみんなの人気者になれたので、憧れもあり親に買ってもらいました(笑)。でも、当時はそこまでゲームにガッツリハマってはいなかったですね。 ーーゲームにハマったタイミングはいつなのでしょうか? RaMu:本格的に始めたのは、高校1年生のときです。前の席に座っていた男の子がゲーマーの子で、『Call of Duty®: Modern Warfare® 3』をみんなで初めてプレイしたんです。そのときは「なにこの酔う視点」「気持ち悪い」って感じで、友達からも「うわ! ヘッタクソ!」ってめちゃくちゃバカにされました(笑)。それが悔しくて、次の日にPlayStation 3とソフトを買って、そこからやり込みました。一緒に『バイオハザード5』も購入したんですけど、それもものすごくハマりましたね。 ーーシューティングゲームが始まりだったんですね。 RaMu: 当時、女の子のプレイヤーって、いまよりもかなり希少だったんです。ボイスチャットでちょっと喋っただけで“姫プレイ”をしてくれるような環境でした(笑)。最初はそれが楽しかったんですけど、だんだん友だちと実力が同じくらいになってきたら、平等な扱いになりましたね。「なんでそこ突っ込むんだよ!」とか普通に言われてました(笑)。あのころは友だちと朝5時くらいまで遊んで、ちょっとだけ寝て学校に行く、みたいな生活をずっと続けてましたね。 ーー急激にゴリゴリのゲーマー生活に突入したんですね(笑)。 RaMu:そうですね(笑)。そこからトロコンの楽しさを覚えたり、「バイオハザード」シリーズは絶対3周する、というマイルールもできました。凝り性なので、その性格がゲームにマッチしたんだと思います。 ーーいまでもその友達とゲームをすることはあるんですか? RaMu:もうみんな結婚して家庭を持っていたりするので、「お前ゲームまだやってるの」と言われます(笑)。でも久しぶりに一緒に遊ぶと「やっぱりうまいな」と思いますね。何歳になっても一緒にゲームをすると青春を味わえるというか、学生時代のあのノリを思い出せるので、そういう部分もゲームの魅力かなと思います。 ■ゲームは絶対に自分を裏切らない“親友” ーー2024年3月には加藤純一 presents『第二回 配信者ハイパーゲーム大会』にも出場されましたが、大会を体験してみてどうでしたか? RaMu:最近は、ゲームでプレッシャーを感じる場面が多くなってきたなと思います。これまでは私が遊びでやってきたものを視聴者さんが見てくれていた、っていう感じなんですけど、競技としてのゲームになるとやっぱり空気が違うんです。“楽しい”というより、いい緊張感に“痺れる”という感覚ですね。 ーー大会を終えて、具体的にはどんなものを得られたと感じていますか? RaMu:努力は裏切らないんだなっていうのはすごく感じました。結果を残せたというのもあるし、努力が報われたあの瞬間の気持ちよさは、大会に挑戦しないと得ることができない体験だなと思います。仮に賞金や景品がなくても、大会という場で得られるものはかなり大きいと思います。 今回の大会は、先鋒戦で唯一女性プレイヤーとして出場したんですけど、この大会をきっかけに応援してくれる人がめちゃくちゃ増えたんです。SNSもフォロワーが1万人以上増えたりして、みんなが応援してくれていることが目に見えてわかってすごくうれしかったです。こういう体験も、大会に挑戦していなかったらできなかったと思います。 ーーあらためてRaMuさんにとって、ゲームとはどんな存在でしょうか? RaMu:自分を絶対に裏切らない親友ですね。親友って久しぶりに会っても、昨日会ったみたいな距離感にすぐ戻れるじゃないですか。私にとってのゲームってそんな存在で、触らない期間がすごく空いても、久しぶりにプレイしたら12時間くらいぶっ通しで遊べたりするんです。 私は凝り性なんですけど、飽きるときはパッと飽きたりするので(笑)。だから恋人ではないんですよね。たまに飽きるけど、すぐあのころに戻れる。ゲームはそんな親友だと思っています。 ■最初の夢はお笑い芸人 ーーここからはゲーム以外の活動についてもお伺いしていきたいのですが、動画発信はいつごろから行っていたのでしょうか。 RaMu:昔は芸人になりたいと思っていたんです。高校生のときに芸人を目指すための大会を見に行ったのですが、予想以上にレベルが高くて「私が芸人になるのは無理だ」と思って諦めたんです。でも人前に出てみんなを笑わせることは好きだったので、芸能界になんとなく憧れはありました。 そのころに『Vine(バイン)』という動画投稿サービスが流行って、「もしかしたらチャンスが眠っているかもしれない」と思って動画投稿を始めたんです。当時はおもしろ系の動画を投稿している女の子が少なかったのもあって、頑張れば芸能界に入れるかもしれないと思い活動していました。 ーーそこからYouTubeへは、自然に移行したという感じですか? RaMu:そうですね。『Vine』のサービスが終了してしまって。そのころすでに事務所に所属していたんですけど、やっぱり私はSNSから生まれた存在なのでSNSは続けていこうということで、YouTubeをスタートしました。 ーーVineからYouTubeのスタートに戸惑いはありましたか。 RaMu:Vineは尺が“6秒”と決まっていたので、長尺の動画がまったく掴めまなくて最初は怖かったです。6秒だと出オチができるんですけど、YouTubeはちゃんと起承転結を組み立てないといけなかったので、マネージャーに助けてもらいながら手探りで始めましたね。 ーーグラビア活動はいつからスタートしたのでしょうか? RaMu:友達とプールに行ったときの動画をVineに投稿したら、「こんなスタイルよかったんだ」みたいな感じでバズったんです。その動画をきっかけに事務所に声をかけてもらって、グラビアにも挑戦しました。 ーーグラビア自体に抵抗はなかったんですか。 RaMu:胸が大きいことは、学生のころからコンプレックスだったんですよ。けっこういじられることもあって、そのたびに「私に勝てるやついる!?」とか「肩凝るわ~」とか明るく返していたんですけど、自分の性格と胸の大きさが合っている気がしていなくて、生活もしづらいし嫌でした(笑)。でもグラビアに挑戦したら、このコンプレックスも自信になるかもしれないと思って、前向きに始めることができました。 ■好きなことを仕事にすることの難しさ ーーRaMuさんは、好きなことをそのままお仕事にされている印象があるのですが、それぞれの仕事に対してどのように向き合っていますか? RaMu:いい意味でも悪い意味でも“お仕事”って感じではないんです。なにか楽しいことをしていたら、それがそのまま収入になっていたみたいな感じで。楽しむ気持ちをメインに活動しているので、もしかしたらプロ意識がないのかもしれないです。 自分が楽しいと思っていることを、楽しく思えなくなってしまうのは悲しいじゃないですか。だから、いいかどうかはわからないんですけど、遊び感覚で活動していますね。 ーーでも、好きなことを仕事にできているのは素敵ですね。 RaMu:最初は、それゆえに悩んでいた時期もありました。たとえばゲーム関連のお仕事をいただいたときに、自分の好きなジャンルではない作品のときもあって……そういうときにどうしても“お仕事モード”になっちゃうんです。それを見たユーザーさんに「頑張ってる感が強すぎて、見てるこっちがキツくなる」と言われたこともあります。 当時は「なんでお仕事なのに、頑張っちゃダメなの?」と思っていたんですけど、やっぱり見ている人からすると義務感みたいなものが伝わりすぎていたんでしょうね。 ーーたしかに、好きなジャンルでもすべてがマッチするわけではないですよね。その悩みはどのように乗り越えたのでしょうか? RaMu:もっと遊び感覚でやれば楽しくなる! って切り替えたんです。以前は「仕事だから作品についての知識は全部知っておかないと……」と思ってめちゃくちゃ調べていたんですけど、逆にいまは最低限の情報だけ調べて、あとは実際に触れてその場で楽しんでいます。知らずに遊んでみると、案外おもしろいじゃん! って思えるようになりました。自分の好奇心に素直に従うことにしたんです。 ーーなるほど。それはゲーム以外の活動にも応用できそうな考え方ですね。 RaMu:そうですね。私は個人チャンネル以外に、「シネマンション」という映画紹介チャンネルのMCもしているんですが、あまり知られていない変な映画の方がたくさん語れたりするんです(笑)。誰もが知っている名作のような作品の方が、逆に語るのが難しかったりするので。どんなものに対しても、遊び感覚で楽しめば楽しめるようになりました。 ■マルチプレイヤーだからこそ出せる唯一無二の存在感 ーーYouTubeにゲームにグラビアと幅広く活躍をしているRaMuさんですが、それぞれの活動に対してはどう考えていますか? RaMu:どの場所でも、自分のテンション感はほぼ同じですね。以前は、自分の活動内容をどれかひとつのジャンルに絞るべきなのか悩んでいました。私って、活動領域がゲームとSNSのハーフみたいな状態なんです。立ち位置がはっきりしていないので、カテゴリー分けできる存在になった方がいいのかなと思いました。 でもどれかひとつに尖れるほど強くはなかったので、徐々にこの状態の自分を受け入れていったという感じです。開き直ることができたら、窮屈に感じていた活動が少しずつ自由になっていきました。いまはどこで活動しても、素の元気が姿を見せられるようになりましたね。 ーー今後、力を入れていきたい活動はありますか? RaMu:配信活動は日常生活の一部になりつつあるので、これから先もずっと続けていきたいです。ファンの方にとっても、私の配信ってフラっと友達感覚で立ち寄れる場所だと思うんですよ。実際に会いに来てくれる方もいるのですが、遠方に住んでいたり、お金がかかったりしてなかなか会えない人も多いので。おばあちゃんになっても、配信はやっていきたいな!
取材・文=はるまきもえ/取材=片村光博