西日本豪雨「思い出の品」、広島市の保管3月末で終了 「持ち主の手元に一つでも多く」申し出を呼びかけ
広島市は3月末、2018年7月の西日本豪雨の災害廃棄物から見つかった家族写真やおもちゃなどの「思い出の品」の保管をやめる。災害から5年が過ぎ、劣化が進む一方で問い合わせがほとんどなくなったため。市は「持ち主の手元に、一つでも多く戻ってほしい」と申し出を呼びかけている。 保管しているのは、ぬいぐるみや野球のグラブ、ハーモニカなど48点と写真3千枚余り。個人名が記された卒業証書もある。被災した住宅から出た災害廃棄物から回収し、業者やボランティアが洗浄した上で本庁舎の一室に収めている。 市はホームページ(HP)でリストを写真付きで公開している。これまでに返却できたのはランドセルなど3点と、写真112枚。最近は問い合わせがほぼなく、本年度は1件にとどまる。こうした状況から3月末での処分を決めた。 思い出の品について、環境省の災害廃棄物対策指針は「廃棄に回さず、可能な限り所有者に引き渡す」とするが、保管期限は示していない。県内の西日本豪雨の被災地では、東広島市と坂町も保管しており、いずれも期限は決めていない。 広島市は期限まで残り1カ月を切った。市環境政策課の筒井優衣さん(28)は「大切な思い出が詰まっていると捉え、大事に保管してきた。少しでも思い当たれば気軽に問い合わせてほしい」と話す。同課☎082(504)2505。
中国新聞社