岩佐歩夢にとって重要だった、土曜日の夜……「なぜ自分たちのことを信じられなかったのか……小池エンジニアとじっくり話し合った」
鈴鹿サーキットで行なわれたスーパーフォーミュラの開幕戦を9位で終えた岩佐歩夢(TEAM MUGEN)は、好結果を残せなかったのは予選日1日を通しての判断ミスがあったからだと明かした。そしてそれを解決するために、その日の夜に担当エンジニアと話し合ったことが、今後に向けて非常に重要であり、チャンピオンに向けた手応えを得ることになったという。 【動画】2024年スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿:決勝ハイライト 岩佐はスーパーフォーミュラの開幕戦予選Q1のA組を3番手で通過。上々の走り出しとなった。しかし予選Q2ではタイムが伸びず、結局11番手。決勝ではピットストップを遅らせる戦略を取ったものの、9位が精一杯。期待していたような、スーパーフォーミュラデビュー戦での上位入賞とはならなかった。 「予選というか、予選日1日を通してのミスでした」 岩佐はmotorsport.comにそう語った。 「自分たちが目指していたところがあったにも関わらず、フリープラクティスの90分間に、その時のコンディションに合わせるというセットアップをしてしまいました。予選を見据えることができなかったんです」 「その時その時のマシンの状況をフィードバックして、悪くはないものの良い方向にもいっていませんでした。それで最後のアタックをした時に大きく遅れてしまっていたので、予選に向けては当初自分たちが準備していたセットアップを、ぶっつけ本番で入れました。それで、Q1では3番手に入ることができました」 「でもQ1のA組からQ2までの間に、路面のコンディションが大きく変わってしまいました。担当エンジニアの小池(智彦)さんには経験があるので、そのコンディション変化にアジャストしていったんですが、それでも全然足りず、Q2でのポジションは上がりませんでした」 「フリープラクティスで全く違う方向性にしてしまって、そこから戻してQ2に挑んだので、細かい詰めという次元までいけなかった……それがこの結果の要因だと思います」 岩佐と小池エンジニアが開幕戦に向けて用意していた内容は、実は正しいモノだったという。その理由として、岩佐のチームメイトであり、開幕戦を制した野尻智紀は、実は岩佐号が予定していたセットアップを用いていた。 「結果論で言うと、僕らがレースウィークまでに準備してきたものはすごく良かったんです。なんで自分たちを信じてやれなかったんだというのが、自分とエンジニアの反省点です」 そう岩佐は語る。 「自分たちをさらに悲しませたのが、野尻さんが僕らが準備していたモノをフリープラクティスから使い、それがバチっとハマっていた。レポートを見ても『15号車(岩佐の車両)のセットが良いようなので、それを使ったらやっぱり良かった』と書いてあったんです。それも経験と言えば経験ですが、悔しいですね」 岩佐曰く、この予選日の失敗について、その日の夜に岩佐と小池エンジニアのふたりで、長いこと話し合ったという。そのことが、今後に向けた自信を増すきっかけになったという。 「次戦(オートポリス戦)に向けての手応えは、結構ありますね。組み立て方の反省点は大きいです。僕と小池さんにとっては、その土曜日の夜が重要でした」 「2人でじっくりと話し合ったんです。自分たちが本来持っていたはずのパフォーマンスを結果的に出せなかったので、これじゃダメだということでふたりで話し込みました。それはマシンのことじゃなくて、自分たちの取り組み方とか、自分たちのことを信じきれなかったことなどです。もちろん、お互いのことはそれぞれ信じているんですが、ふたりでやってきたことを信じきれなかった。そのあたりのことは、今回のレースウィークだけじゃなく今後に向けても大事になってきます」 「でも土曜日の夜には話して、その後でやったことが、自分としては結構自信になりました。僕は、小池さんとチャンピオンを獲れるという自信が、この予選と決勝でつきました」 9位に終わったものの、決勝でのレースペースは決して悪くなく、それも岩佐の自信を後押しすることになった。 「自分たちのポテンシャルが悪くないのは、決勝レースで見えました。予選に関しても、野尻さんがそれを示してくれました。Q1からQ2に向けたアジャストとか、野尻さんは完璧に近い形でできているはずです。経験値も含めてですけどね」 「でもそこに追いつき、追い越そうとすると、野尻さんと同じことをやっていては敵わない。そこは、小池さんとやっていくしかないと思います」
田中 健一
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