21世紀美術館 完全復旧は26年度以降 金沢市、今年度に基本設計
●天井ガラス70枚破損 能登半島地震で被災した金沢21世紀美術館の「完全復旧」が早くとも2026年度以降となることが、金沢市への取材で分かった。同美術館は、地震により天井ガラスが約70枚破損し、現在は応急処置を施した状態で全館を開館している。今年10月の開館20周年は、地震の爪痕が残るまま迎えることになる。基本設計の費用800万円を今年度9月補正予算案に盛り込む。 21美では展示室などの天井に約830枚のガラス板を使っている。1・5メートル四方の強化ガラスで、重さは1枚約90キロに及ぶ。このうち約70枚が割れたり、落下したりした。 安全を確保するため、市は全830枚を撤去した上で、6月22日に全館の開館を再開した。ガラス板があった箇所は、展示内容に応じて布の幕を張るなどしている。 地震発生時は元日で休館だったため、けが人はいなかった。ただガラス板は一部で10メートルを超える高さに設置されており、基本設計では、安全面から再びガラス張りにするかどうかも含めて検討する。 ●工事で数カ月休館も 来年度までに実施設計を終え、26年度に工事に着手する。もともと21美では、空調の更新や照明のLED化といった大規模修繕工事を予定していた。天井の復旧はこれに合わせて行う。このため、再来年度以降に数カ月の休館期間が必要となる見通しだ。 市文化政策課の担当者は工事の期間や費用は未定とした上で「地震に対応できる天井の素材などを見極め、復旧を進めたい」とした。