ヤンチャから朴訥青年に…『虎に翼』で三代目JSB・岩田剛典、BE:FIRST・三山凌輝が見せる憑依
三山凌輝と猪爪直明の内面ギャップ
一方、三山は2021年からBE:FIRSTのメンバーとして、RYOKI名義で活躍してきた。グループ加入以前は、2.5次元舞台に立つなど役者として活動していた。2020年に出演した映画『人狼ゲーム デスゲームの運営人』では、監督の川上亮から、最初から最後まで完璧に役として存在していたことを絶賛されていた三山。BE:FIRSTで世界的グループを目指す現在も、岩田同様、アーティスト業と俳優業を二刀流でこなしている。 『虎に翼』では第9週から、子役に代わって成長した寅子の弟・直明として登場。幼少期から勉学が好きで帝大を目指していたが、戦後の猪爪家を支えるため、大学受験を断念し働くことを申し出る。そんな弟を想って、寅子は再び法律の世界に職を求め、直明に大学に進学するよう勧めた。「…僕、勉強していいの?」と尋ねる目の輝きは、真っすぐな直明そのものだった。 黒髪の坊主頭で、純粋で朴訥としている直明。三山は25歳だが、幼少期からの“可愛い弟感”がしっかりと滲み出ている。BE:FIRSTを知らない視聴者から見たら、直明は直明でしかなく、歌番組などでRYOKIとして躍動する姿を見ても同一人物と合致できるだろうかと思うほどだ。 それでも、三山の内面は直明とかなりギャップがある。赤髪坊主になるなどヤンチャな側面を持ち、メンバーの中でも“陽”のオーラを纏っている。グループ楽曲では、海外を見据えラップの英語詞を担当し、やや高音の高速ラップも炸裂させている。2022年の『NHK紅白歌合戦』では、司会の大泉洋を「おやじ」と呼び、2023年のNHK『明石家紅白!』では、明石家さんまの冠番組パロディ企画『踊る!RYOKI御殿!!』を担当していることを本人に謝罪するなど、大御所にも臆することなく懐に入り込んでいた。どんな場面でも、彼のコミュニケーション能力は図抜けている。 『虎に翼』では、志半ばで夢破れた花岡だが、彼の思いやりと強い正義感は寅子の胸にずっと刻まれ続けるだろう。三山演じる直明は、父、兄、夫を一気に戦争で失った寅子ら猪爪家の人々にとって、救いのような存在だ。今後も彼がどのような成長をみせるかが、猪爪家にとっても視聴者にとっても希望の光となりそうだ。華やかなボーイズグループメンバーとしての側面から一転して、朴訥青年に憑依した岩田と三山。彼らの役者としてのこれからに一層注目したい。
こじらぶ