Jリーグ 監督交代の効果はあるのか
8月1日付で清水の大榎監督が成績不振を理由に監督を辞任した。これで今季J1・J2リーグにおけるシーズン途中での監督交代は8人目となった。名門クラブだからこその成績不振、残留争いに伴うもの、さらにはクラブ内でのトラブル…監督交代には様々な要因が絡んでいると思われるが、果たしてその効果は出ているのだろうか。シーズン途中の監督交代を過去5年分振り返り、その成果を検証してみたい。
■珍しくない? シーズン中の監督交代
2010年シーズン~今シーズン途中までに、合計44回もの交代が行われていた(表1参照)。最多は大宮の4回で、神戸、京都、C大阪がそれぞれ3回ずつで続く。これらのチームに至っては、2年に1回ペースでシーズン中の監督交代を行っている計算になる。また、交代を行ったチーム数でも27チームが監督交代を行っており、これは全所属チームの63%にあたる(2010年以降のJ1・J2には合計43チームが存在)。もはやシーズン途中の監督交代は珍しいものではないと言える。
J1とJ2のこれまでの監督交代を表2(表2-1がJ1、表2-2がJ2)にまとめた。左が前任監督で、右が後任監督となっており、それぞれの色分けは以下の通り。 ・各カテゴリーのシーズン通算平均勝点以上を獲得している監督が「オレンジ」:シーズン最終順位が中位程度の勝点ペース ・シーズン通算で10位以下に位置する平均勝点の監督を「黄」:同10位以下になるペース
■理由は成績不振が60%
これに従うと、J1・J2ともに約60%が成績不振を理由に交代していることが分かる。そして監督交代後に「黄」から「オレンジ」に変わっているチームがどれだけあるかというと、J1で6チーム(全15チーム)、J2では3チーム(全11チーム)という結果となっている。両リーグ合わせると成績不振を理由に監督交代したチームの3割が多少の持ち直しといえる勝点を積み上げられている。
その中で、降格回避などの状況を差し引いた、勝点という観点だけで最も「立て直した」と言えるのは2015年鹿島の石井監督。交代後、2戦2勝で負けなし(表2-3参照)。また、平均勝点「1.72」(34試合換算で最終順位6位程度の勝点に相当)を挙げている甲府の佐久間監督も現在のところ成功と言えるだろう。 今シーズンに限って言えば、上記の2人に水戸の西ケ谷監督が「立て直している」と言えるだけの勝点を挙げている。