センバツ明豊支えるトレーナー 野球部の頼れる“兄貴分” 浜永修次さん(38) /大分
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)に出場する明豊野球部。同部のトレーナー、浜永修次さん(38)のモットーは「選手には普段から本音でぶつかる」ことだ。「うるさい、しつこいと思われるほど話しかける」と、時間があればコミュニケーションを取り、何でも相談できる関係を築き、選手たちを支えている。【辻本知大】 ◇ジムに温泉 選手もリラックス 浜永さんは宇佐市出身。小学3年から野球を始め、中学卒業後は関西の強豪・PL学園に進んだ。大学、社会人でも投手として活躍したが、選手時代は体の故障に悩まされ続けた。 「甲子園で活躍する選手は体が違う」。引退後、自らの選手経験を生かしたトレーナーになろうと決心。川崎絢平監督と知人を通じて知り合い、2015年に明豊野球部に招かれた。 浜永さんが重視するのは、メンタルケアだ。甲子園といった大舞台を前に、選手たちが不安定になると、とことん相談に乗る。 19年のセンバツ初戦の前夜のことだ。選手たちが寝静まった宿舎で午前0時過ぎ、表悠斗主将(当時)が訪ねてきた。「眠れない」。浜永さんは「寝られないのは当たり前だ」と笑い、部屋に戻してマッサージし、20分ほどで寝かしつけたという。 いざというとき頼られるため、選手とはとにかくコミュニケーションを図る。シャア、ザンポン、チップなど全員にあだ名を付け、野球だけでなく、学校や私生活のことも話し込む。そのためにはリラックスできる環境作りが欠かせない。 一役買っているのが、浜永さんが明豊グラウンド近くで経営するジム内の温泉だ。全国一の湧出(ゆうしゅつ)量を誇る別府ならではの設備で、ジム近くの泉源から天然温泉を引き、定員6人の岩風呂を設けた。 「ぜいたくな設備でしょう。自分が選手の時にほしかったケアを提供する。その一心です」と浜永さん。湯につかりながら、同級生同士で、先輩と後輩で。会話が弾む。 「裸の付き合いになれば、グラウンドや寮とはまた違った会話ができる」。湯上がりに涙を浮かべていた選手もいたという。 選手たちの様子を伺い、調子のバロメーターを見極める。「試合前に気持ちを下げさせないのが自分の仕事」と強調する。 「選手のことが何でも分かるくらいに深く関わって、思い切ったプレーをさせたい」。浜永さんはセンバツを待ち遠しく思っている。