胃切除で食欲抑制 福島医大 県内初、50代男性に手術 糖尿病改善に期待
福島医大は25日、胃の大部分を切除して食欲を抑制する「腹腔(ふくくう)鏡下スリーブ状胃切除術」を福島県内で初めて導入し、今月に1例目となる手術を実施したと発表した。体重減少や糖尿病改善が期待できる。約6割の糖尿病患者が治療を必要としない状態まで回復するという。 胃切除術はBMI(体格指数)が32・5以上の肥満で、糖尿病や高血圧症などの合併症を起こしている人が対象。BMI32・5以上は身長170センチの場合、体重94キロから該当する。腹腔鏡と呼ばれる装置を使い、胃の5分の4程度を切り取り、食欲増進ホルモン「グレリン」の分泌を抑える。保険適用されている。 今回手術を受けたのは、糖尿病を患っている50代男性で身長約160センチ、体重約100キロ。BMIは35以上。投薬治療や食事療法を続けてきたが、効果が限定的だったという。消化管外科学講座の河野浩二主任教授は「投薬治療や食事療法よりも胃切除術の方が症状をうまくコントロールできるとの研究結果が世界中の臨床試験で確認されている」と説明する。
県によると、2020(令和2)年度の国の調査ではBMIが25以上の肥満の県民の割合は男性39・8%で全国ワースト6位、女性26・9%で全国4位だった。福島医大によると、BMIが32以上の県民は約1200人に上る。 糖尿病内分泌代謝内科学講座の島袋充生主任教授は「一度の手術で通院の手間が省ける。体への負担も少なく、まさに画期的と言える」としている。