山形大、21年ぶりに教員養成特化の「教育学部」復活へ…深刻化するなり手不足の解消目指す
山形大は10月31日、地域教育文化学部を改組し、教員養成に特化した「教育学部」を21年ぶりに復活させる構想を発表した。既に国と協議を進めており、2026年4月の設置を目指す。山形県内で学校教員の採用難が深刻化する中、教員養成の取り組みを強化し、なり手不足を解消するのが狙い。
同大によると、教員採用数の減少などを理由に、同大は05年度から、教育学部を地域教育文化学部に改組した。教員養成機能は維持されており、学生は、児童教育コース(定員75人)などで教員免許を取得できる。
しかし、昨年度に同コースを卒業した79人のうち、教職に就いたのは半数以下の35人。県内で教員になったのは17人のみだった。県教育委員会によると、来春採用の教員試験の志願倍率は、公立小学校で1・5倍だった。15年春採用の3・8倍から大幅に減少しており、教員のなり手不足が深刻化している。
新たな教育学部には、教員を目指す「学校教育教員養成課程」(同120人)と、カウンセリングやスポーツなどの専門家として学校を支援する人材を育てる「地域教育共創課程(仮称)」(同45人)を設ける。データサイエンスなどを活用して地域課題を解決する人材を育てるため、理数系の教員養成にも力を入れるという。
来年3月頃に文部科学省に設置を申請し、認可が下りれば、7月頃に募集要項を公表する予定。
同大で記者会見した玉手英利学長は「学力や不登校といった生徒指導上の課題に対応できる資質・能力の養成などを主眼として、教員養成機能を深化させたい」と語った。